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Paul SIMONS氏(英国)

温泉利用を止めたのは、第2次大戦のあと薬物の使用が主になり、予防医学よりも、病気になってからの治療、悪くなったところを直すことが重視され始めてからです。

イタリアやドイツでは天然水の利用について見直されてきています。バースの温泉については医学的利用がなくなったのでレジャーとして利用しています。健康が重要視されてきた今、滞在客には「健康生活、健康体」がキーワードとなると思います。

 

山村教授(コーディネーター)

その通りと思います。健康維持のための温泉活用ですね。ドイツ、イタリアではいかがですか。

 

Massimo SABBION氏(イタリア)

政治的問題としては一つの温泉地が単独で努力してもどうにもならないので、協力して研究してもらうことが必要です。10年前に公共医療費は70%削減されてしまいました。温泉療法の効用について正式に発表することが必要です。温泉療法は治療というのではなく、予防的効用で、公的にも、私的にも利用価値があると思います。「ウェルネス」という言葉がキーワードであり、自然な方法による「ウェルネス」の維持が大切なのです。なお、療養目的に温泉を利用する場合には正式な証明書が必要となります。

次に、健康やレジャーとして温泉を宣伝し、流行を創ることです。現在、私のホテルでは高級な部分を宣伝し、裕福な客層を対象に営業活動を行っています。裕福な旅行者が訪問すれば、そうでない人々もやって来ますが、そうでない人々が訪問するところに裕福な旅行者は来ませんから。

 

山村教授(コーディネーター)

ニュージーランド、米国も以前は療養目的で温泉が利用されていてかも知れないが、現在はいかがでしょうか。

 

Kjell MITCHELL氏(米国)

我が社の温泉利用はレジャーが最大の目的ですが、最近はスポーツ医学として注目されています。多くの米国人は活動的でスキーなどの運動により怪我をします。医師に温泉療法を薦められれば、利用しますし、「ウェルネス」の意味では水中エアロビクスなどが行われています。整体師もいますし、保険が適用される部分もあります。

 

Ross STANWAY氏(ニュージーランド)

ロトルアでは温泉はリラックスするためや、社交活動の一つとして利用されています。

医療の面では、泥を使った治療が行われています。水、泥の医療施術には、国内を始め、オーストラリアから治療客が訪れています。このような利用方法を土台として、新しい利用を模索することを考えています。

「療養」というと否定的な悪い印象を与えがちですが、「ウェルネス、ウェルビーイング」と言えば肯定的な良い印象があります。要するに言葉の選択が大切であり、「ウェルネス」の市場開拓が重要となるのです。オークランドには「ウェルネスセンター」という建物があります。

 

 

 

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