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効果・影響、問題・課題 等

導入による効果、影響

●誘導標識のわかりやすさ:アンケート調査によると、郊外駐車場までの誘導標識(看板や横断幕)は、わかりやすいと好評であった。

●駐車場利用状況:満車にはならなかったが、8月14日において97%使用状態(のべ2229台)となった。

●まつり期間中乗用車で訪れた観客はおよそ69万人(期間中入場者数112万人中)と推定され、全体の約61%に相当する。このうち郊外駐車場の利用者は19万人で全体の約17%。乗用車利用者の約28%であった。

●運行コスト:輸送コストは輸送人員の規模が拡大するに従ってスケールメリットを教授できた。しかし輸送人員が4,000人/日を越えるとスケールメリットは働かないことが分かった。なお、車両誘導や交通警備を含む会期全体におけるシャトルバスの往復運行コスト(駐車場建設費を除く)は乗客一人あたり約700円(バス代のみ約470円)、乗用車1台あたり約2,300円であった。

●渋滞発生:通常はシャトルバスルート上に渋滞はほとんど発生しなかったが、平日の夕方4時頃の帰宅ラッシュの時間に降雨があった8月9日と、来客の集中した夜間開催日終了間際の8月21日の夕方といった特殊条件の複合日には渋滞が発生した。しかし、会期中、最大バス待ち時間20分の条件を超過したのはわずか4日間であり、ハイレベルなサービス水準を維持できたといえる。

●シャトルバス利用者の感想:7月中旬から下旬にかけてシャトルバスの乗客に対してアンケート調査を行った結果によると、シャトルバスの運行について便利でよいとした人は84.8%、料金設定について77.6%がちょうどよいとし、乗車時間は88.0%が短いあるいはちょうどよいとしており、利用者に好評であったことがわかった。

 

問題、課題

●P&R方式の優位性確保:自家用車の目的地に到達したい欲求を抑えるだけの「便利さ、速さ、安さ」といった魅力を常時確保する。

●バス運行の安全性確保:シャトルバスルートに渋滞が発生し、バス運行に遅れが生ずると、P&Rのメリットは無くなってしまう。このためシャトルバスルート上における渋滞解消策を十分に用意する必要がある。

●市民の理解:シャトルバスの利用は市民の自由意志によるものであるため、マスコミ等を通じて市民ひとりひとりの「使命感」に訴えることが重要である。

 

参考文献

1)牧垣寿志、国宝松本城400年まつり 観客輸送の実際と評価-パーク・アンド・ライドシステム実施報告-、新都市No.568、pp66-76、1994.5

 

 

 

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