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●事前調査の効果:試行実験の実施を検討する中で、事業所や従業者に対して意識・意向調査を実施し、利用者のニーズに合った交通サービス提供に活かすとともに、関係者の理解と協力を得やすい環境づくりを心がけたことが、利用者の高い評価に繋がったといえる。特に従業員に対しては、集合方式を採用して、調査の主旨やパークアンドバスライドについて十分に説明をした上で意識アンケート調査を実施し、利用者のバス利用意向や利用者が望むサービス水準を把握して、その調査結果を試行実験内容に反映させたことが特徴としてあげられる。

 

表 試行実験結果の概要

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問題、課題

●システムは大きな支障なく運営ができ、かつ利用者ニーズにも応えられた。ただし、システム設計上の課題として、夕方ピーク時の都心部での一部バスの運行遅れへの対応、時間調整や過剰な早着をなくすダイヤ見直し等いくつかの課題が確認できた。

●参加者のイメージ向上、マスコミ報道等によるシステム認識のPR効果は相当にあったと考えられる。システム利用者数から、参加者の利用意向の高さを確認できたが、参加者以外の利用意向は低く、交通問題への社会的啓発という観点では課題を残したといえる。道路渋滞に起因する諸問題に対して、市民や事業所の認識をさらに向上させることが望まれる。

●不参加の要因として、利用意向の低さ、利用形態や居住地による違いなどがあり、通勤手当が利用条件になるといった課題も改めて明らかになった。

●パークアンドバスライドの料金(運賃+駐車場代)の負担をどうするかが導入の鍵となる。

●駐車場整備や運営をどうするかが課題である。

 

参考資料

1)内山茂身、パーク・アンド・バスライドの取り組みについて -常磐自動車道を使用した試行実験-、高速道路と自動車 第40巻 第9号、pp53-57、1997.9

2)高橋勝美・佐藤重孝・坂井田美晴・内山茂身、日立都市圏における通勤高速バス導入可能性に関する分析、土木計画学研究・講演集 No.18(2)、pp205-208、1995.12

3)茨城大学工学部都市システム工学科交通研究室、日立パーク&バスライド試行実験の概要、http://www.civil.ibaraki.ac.jp/civil/trans/pbrhit/announce.html、1998.11.09 (日立パーク&バスライド試行実験推進協議会によって製作された参加者募集パンフレットにもとづいて作成されたもの)

 

 

 

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