トラック輸送から鉄道コンテナに転換しようとする際に、今までのパレットが使えない、あるいはフォークリフトによる荷役作業が難しいなどの理由から、シフトを見合わせるケースも見られる。これも鉄道輸送の規格など物理的な問題があるにせよ、利便性のあるコンテナの開発の提供が望まれる。
2] 内航海運・長距離フェリー
内航海運・長距離フェリーについても、鉄道同様、「輸送時間の短縮化」と「利用しやすいダイヤの設定」が望まれる。
内航海運・長距離フェリーは、輸送コストについては、輸送距離による面はあるものの、トラック輸送に比べて優位性は高い。ただし、上記のような時間やダイヤの問題に加えて、輸送ロットがまとまらないと難しいという問題もある。つまり、小口貨物の場合、何らかの積合せが必要であるとともに、フェリーの場合は、トレーラ単位までロットをまとめることができないと、無人航走ができずメリットが減少してしまうという問題がある。この点については、まず、荷主企業の取引条件の見直しが必要となるが、一方では、物流事業者として、積合せシステムの提供やアドバイスも有効な対応であると考えられる。
2. すでにシフトしている企業へのアプローチによる拡大
ヒアリング調査結果から、これまでモーダルシフトを実施してきた荷主企業の多くは、今後ともシフトを継続すると回答している。荷主企業にとっては、運賃(輸送コスト)の低減がもっとも大きなシフト理由となっていたが、現在と同じ程度のコストメリットがあるのであれば利用を継続するとしている。
また、輸送モードの選択を物流事業者に任せている荷主企業は、物流事業者が今後もシフトしたモードを利用するのであればそれに従うとしている。
トラックに比べて運賃面で現状程度の優位性があれば、すでにシフトしている荷主企業は今後も利用を継続するものとみられる。(現在のコストメリットにとくに不満は感じていない)。
既にモーダルシフトを実施している企業では、社内あるいは社外(顧客)との間で物流条件や物流システムの見直しを行い、その結果としてモーダルシフトが実現できている。そして、コストダウンという成果を得られていることから、さらに、他の輸送についてもモーダルシフトを検討する部分がある可能性がある。特に環境問題への対応が求められるメーカー等では、モーダルシフトの必要性がより高まることが考えられる。
従って、すでにシフトしている企業、あるいは同業種の企業に対して、事例等をもとにしたメリットを明確にした新しいシステムの提案を、物流事業者側から提供していくことが有効であると考えられる。