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第5章 モーダルシフト推進へ向けて

 

1. 輸送モードの課題とその克服

今回のアンケート調査結果では、モーダルシフトしない理由は「輸送時間が長くなる」が最大の理由であった。その他「料金が安くならない」ことや、「荷主の意向で変更不可能」が不可能な理由としてあげられている。また、今後シフトを検討しようとしている企業では、「輸送コスト低減」がモーダルシフトのもっとも大きな効果として期待されている。

ヒアリング調査結果および実験事業結果からも、モーダルシフトを実現するには「輸送コスト低減」が絶対的な条件であるとの意向が強くみられた。

特に長距離輸送になるほど、トラックに鉄道や海運による輸送のほうがコスト的なメリットが生ずることは明らかである。従って、シフトによるデメリットとされる「輸送時間」をいかに短縮化するかが、輸送モードにおける大きな課題である。

1] 鉄道輸送

まず、鉄道輸送においては、フィーダー部分を含めたトータル輸送時間をいかに削減できるかが求められる。現在、幹線部分の長距離直行列車や短距離の列車まで様々な輸送距離、ダイヤの列車が運行されているが、以前から、利用者ニーズを的確に捉えた運行ダイヤの設定や、需要の高いダイヤの輸送力の増強などが課題とされてきた。現在でもその問題は同じようにあるものの、現在運行されている列車をいかに的確に連絡させて、目的地まで短時間で輸送するかを考えることも必要である。

今回の実験事業では、徳島から群馬県の倉賀野まで、71.2時間を要し、出発から到着まで4日かかる輸送を行っている。調査検討委員会では、適切な列車を選択することで、梅田駅あるいは熊谷貨物ターミナル駅で次の列車への中継時間(約32時間)を短縮すれば、少なくとも3日目あるいは、トラックによるフィーダー輸送部分を現状よりも長くとれば、2日目の到着は可能であるとの意見が出されていた。

列車の輸送枠の問題や上下鉄道貨物のアンバランスなどの理由があるにせよ、荷主企業にとってもっとも便利のよい列車の連絡を検討し、提案していくことが、鉄道輸送側、あるいは荷主企業からの元請けとなる物流事業者にとって必要な視点といえる。

また、フィーダ輸送においては、列車の到着時間に併せた集配車両の準備が望まれる。ただし、1列車当たり100個のコンテナが到着しても、それを全て同時にトラック輸送することは、物理的に無理があることは否めない。従って、配達時間を発荷主あるいは着荷主に確認する、あるいは調整することにより、集配車両を効率的に運用し、荷主ニーズに可能な限りの応えるような仕組み作りが必要である。これに当たっては、物流事業者、貨物鉄道会社、荷主企業との緊密な情報交換が不可欠である。

さらに、鉄道輸送では、コンテナ等輸送機器について、一層の改善が求められている。

 

 

 

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