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まず、モーダルシフト境界領域は、荷主企業の「内部での解決が必要な問題」と「外部との調整が必要な問題」に分けることができる。これらの問題に対して、社内での調整や、あるいは対顧客、対物流業者・鉄道貨物会社・海運会社・長距離フェリー会社などと調整・解決できれば、モーダルシフトの実現に近づくと思われる。

これらの調整ができない場合、特にコストダウンが可能でも、サービスレベルの低下が容認できない場合には、モーダルシフトは不可能といえる。

また、モーダルシフト可能領域としては、自社内完結型の物流システム、および対顧客との物流システムにおいて、対社内、顧客ともに、コストメリットをいかに享受していくか、物流システム全体をどのように効率化していくかといった共通理解があるかどうかなどによって、モーダルシフトが実現可能かどうかが決まる。ただし、モーダルシフト可能領域とした中でも、実際は、境界領域にあるような現場の問題を解決することが必要であることは間違いない。

なお、モーダルシフトの導入に向け、諸課題に対して荷主企業が自社内あるいは対顧客、対物流業者・鉄道貨物会社・海運会社・長距離フェリー会社などと調整・解決していくに当たっては、行政による諸施策や支援が条件整備の一端となる、あるいは条件を調整する契機となることが期待される。

具体的には、まず、モーダルシフトの受け皿である鉄道および港湾のハード面の整備があげられる。鉄道については、ターミナルの整備や貨物列車の長大化への支援、コンテナやパレット等輸送機器の規格の標準化、オフレール・ステーションの設置、スワップボディの普及促進等が考えられる。港湾についても車両およびシャーシ用の駐車スペースやコンテナバース等の確保が望まれる。また、鉄道駅や港湾地区へのアクセス道路の整備も必要である。

ソフト面では、サードパーティ・ロジスティクス等提案型物流企業の育成を図ることにより、荷主企業にとって最適な物流システム構築に、モーダルシフトによるコスト削減を活かすことでメリットを生み出していくことが期待される。さらに、環境問題への関心と積極的な対応を求めるためには、ISO14000シリーズやエコマークの奨励、さらには環境に優しいモーダルシフトについての更なるPR、モーダルシフト協力事業者へのマークの添付などのイメージアップ方策も効果があると思われる。

 

 

 

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