(2) コスト・時間等の比較
1] コストの比較
今回の実験事業では、鉄道へのシフトの2件およびフェリーへのシフトは「コスト減」となったが、海上コンテナへのシフトの事例では若干の「コスト増」という結果となった。
シフトする条件によっては、輸送コストの削減につながらないことがある。
2] 輸送時間
シフト前のトラック輸送に比べて、鉄道および海上輸送ともおよそ2〜6倍の輸送時間を要している。特に、大塚倉庫(株)の徳島〜倉賀野ルートの鉄道輸送へのシフトの場合、梅田駅あるいは熊谷貨物ターミナル駅で次の列車への中継時間が、それぞれ、約14時間と18時間を要していることから、それまでの平均輸送時間720分(12時間)からシフト後は4,270分(71.2時間)へと約6倍もの時間がかかってしまっている。このルートそのものが適切かどうかの問題はあるが、シフトによって輸送時間は確実に増加する傾向にある。
従って、現状の物流システムのなかで輸送時間の増加に対応できることがモーダルシフト実現の条件となる。
なお、この条件を顧客と調整することは難しいケースが多い。従って、例えば1企業内の倉庫から物流拠点などの輸送についてのうほうがシフトしやすいものと考えられる。
3] 積込時間
鉄道輸送へのシフトでは、それまでの10トン車へ1回の積み込みから、鉄道コンテナ(5トンコンテナ)2個に分けて積み込まなくてはならないため、積込時間がトラックへの積込時間に比べて増加する傾向がみられる。
シフトによって積み込み等作業に要する時間が増加するケースがあることに注意を要する。
(3) 利用者の評価
1] 費用面
輸送コストの削減を達成した3事例では、費用面でおおむね評価をしている。しかし、輸送コストがほとんど変わらない(少し高いくらい)事例では、やはり評価は低く、継続意向も示されていない。
モーダルシフト推進には、費用面での効果が最低限の条件といえる。