今回のモデル事業の対象ルートは、鉄道貨物輸送にて工場(佐賀県神崎郡三田川町)から新潟県上越市までパレット輸送にて実施するものであるが、この上越市行きの輸送では1パレットに複数の種類の半導体封止剤製品を積載しなければならず(「1パレット複数ロット輸送」)着荷主側でパレット上の貨物の管理が複雑になり着荷主側が本輸送を受け入れられる体制の整備が遅れ、現時点で上越への鉄道貨物輸送は実施できない状況にある。今後も体制の整備の目途はたっていない。
2. 実験事業からみた効果と課題
(1) 試験輸送対象の特徴
1] 品目・荷姿
今回の対象品目面では、特にモーダルシフト適合貨物を整理するような特徴がみられない。
荷姿については、4件とも「ダンボール箱」で、かつ特殊な梱包や荷造り、積み付け方法を要するものではなく、どのようなモードでも輸送可能な荷姿の貨物であった。
従って、輸送モードが限定される、あるいは特殊な梱包・荷扱い作業が伴う貨物はモーダルシフトの対象貨物にはなりにくいものと考えられる。
2] 輸送対象の発着施設
実験事業では、「工場→倉庫」あるいは「倉庫→倉庫」間輸送が対象となっており、「倉庫→顧客先」あるいは「倉庫から小売店」は難しいものと考えられる。つまり、自社の「工場→倉庫」あるいは「倉庫→倉庫」といった自社内物流システムの中であれば、取引先との物流条件の変更は不要であり、自社内の調整ができればモーダルシフトしやすいということであろう。一方、販売先等顧客間の物流システムでは、鉄道やフェリー利用では輸送時間が長くなることが多く、出荷時間やリードタイムを見直す必要が生じるため、その条件を調整することが難しいものと考えられる。