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また、信用面においても、自己責任が原則となることから、全くはじめての企業と、ポケベルの傭車情報のみで取引を開始することに会員企業が慎重となって、取引が活性化しない懸念がある。

このため、会報等による会員企業の詳細な紹介情報の提供や、必要に応じた信用情報の提供など、各会員の自己責任による危機管理を支援する情報提供が必要である。

 

(3) 期待される効果

ポケベルによる傭車システムによって期待される効果は、中小企業間の相互斡旋の円滑化による実車率の向上であり、それによる二酸化炭素排出量の削減や大気汚染物質の防止である。

自動車輸送統計年報によると、全国のトラックの実車率は普通車67.15%、小型車56.89%(平成8年度)にすぎない。傭車システムの一般化によってこうした非効率を改善できる。

 

図表IV-1-1 営業用トラックの実車率の推移

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資料) 「自動車輸送統計年報」運輸省情報管理部より作成

 

事例におけるポケベルによる傭車システムによる情報発信件数は、テスト段階のデータであるが、50社で月間239件、会員企業1社当たり4.8件/月であったとされている。しかし、ポケベルによる傭車システムの本質的な効果は、中小企業にとって困難な傭車相手先の開拓のツールとして有効であるという面であり、事例においても、ポケベルによる傭車システムの利用企業は、そこで出来たつながりをもとに、相対で傭車を行うようになるとされており、システム導入によってもたらされた傭車の活性化効果は、ポケベルによる成約件数から推し計られるものよりも遙かに大きいと想定される。

こうした特性から定量的な想定は困難であるが、ポケベルによる傭車システムがもたらす実車率、積載率の向上効果は大きいと考えられる。

 

 

 

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