3) 決済への関与
* 決済システムへの拡張のメリットとデメリット
決済システムを導入することにより、会員企業には大きな利便性とともに、売上げと支払いが相殺されることにより、中小企業にとって大きなメリットとなる資金繰り負担の軽減が可能となる。
一方、決済システムはコンピューター通信との接続が必要となると考えられることから、ポケベルによる傭車システムの簡素さが持つメリットは薄れる。また、事務局の機能が大きくなるため、これをまかなうための会費を会員から徴収する必要があり、利用コストは相対的に高くなる。
こうしたことから、会員がなじみやすく利用しやすい決済システムの開発を心がけ、利用コストについても最小限となるよう努力が必要である。
* ポケベルによる一斉同報のみにシステムを限定した場合のメリットとデメリット
システムをポケベルによる一斉同報のみに限定した場合は、システムが簡素で使いやすいというメリットは維持される。
一方、決済システムを構築しないため、当然その利便性を会員は享受できず、また決済システムの大きなメリットである資金繰り面でのメリットも、特定の相手と複数の取引があり、売上げと支払いが相殺できる場合に限定される。
システムを簡素にすることによるメリットと決済システムを導入することによるメリットは二律背反であるため、いずれかのメリットを重視するかを地域の実状に応じて選択することが想定される。
4) トラブルへの対応
* 保険制度の導入のメリットとデメリット
保険制度を導入することで、通信手段で情報を交換した取引実績のない企業同士がはじめて取引を行うにあたっての不安がある程度解消される。
ただし、一旦トラブルが発生すれば、中小企業にとって重要な信用の失墜という損失は、金銭では回復できないことから、効果は補完的なものにとどまる。
このため、保険制度の導入だけでなく、会員の啓発などトラブルを未然に防ぐ取組が必要となる。
* 自己責任のメリットとデメリット
決済の一切に事務局は管理せず、具体的な取引は各会員の自己責任で行うというルールを明確にすることで、参画企業の危機管理意識が高まり、トラブルを未然に防ぐ効果が期待できる。