7. 交通ボランティアネットワークビジョン構築に向けての検討事項
7-1. 交通ボランティア事業定着に向けて検討が必要な事項
(1) 活動範囲の明確化と責任関係の明確化
交通ボランティアについて各関係者へヒアリングを実施したところ、交通ボランテイア事業に関する検討事項として以下の指摘があった。
○高齢者や障害者の立場からすれば、公共交通機関においては、公共性という観点から車イスや視覚障害に対応したモビリティが確保されるのは、交通事業者の責任において当然のことである。
○車イス使用者にとっては、エレベーターやエスカレーター等のバリアフリー設備が設置されていなければ、公共交通機関を利用することは不可能であり、ハード面での対応が難しい場合には介助は絶対に必要である。
○車イスの介助が必然性を持つ以上、介助支援業務についても確実に支援を受けられる必要があり、こうした支援はボランティアにはなじみにくいのではないか。
○交通事業者としては、交通ボランティア活動はありがたいが、一方で交通施設内での交通ボランティア活動実施時に事故等が発生した場合の責任関係を明確にしておく必要がある。
これらの指摘より、交通ボランティア事業の定着化に向けて以下の点についての検討が必要となるものと考えられる。
交通ボランティア活動の具体的活動内容としては、介助するボランティアの立場からみれば、交通施設内での案内や手荷物を持ってあげる、平面またはスロープでの車イスの介助等の簡単な行為から、視覚障害者のガイドヘルプ、車イスの方の階段の昇降等のある程度の専門的知識が必要でかつ生命に関わる重大事故のリスクがある行為まで様々である。
また、被介助者の視点からは、交通施設内での案内や手荷物を持ってあげる、平面またはスロープでの事イスの介助等等の簡単な行為については、「手伝ってもらえればいいな」という必然性のない行為であるが、視覚障害者のガイドヘルプ、車イスの方の階段の昇降等については「手伝ってもらわないと困る」といった必然性のある行為であると考えられる。
このうち「手伝ってもらわないと困る」行為については、その必然性から考えて、広い意味での公共交通機関利用のためのドアツードア型の送迎ボランティアの一種として位置付けられると考えられる。