以上のことより、公共交通機関利用のためのドアツードア型の送迎ボランティアの一種としての視覚障害者のガイドヘルプ、車イスの方の階段の昇降等の行為は、サービス自体が被介助者にとって必然性を持ち、介助する立場の者にとっては、専門知識を持ったものが責任を持ってあたるべき行為であると考えられる。
一方、交通施設内での案内や手荷物を持ってあげる、平面またはスロープでの車イスの介助等等の簡単な行為については、被介助者の必然性がないことと介助する側にとっても生命に関わる重大事故等のリスクが少ないことより、「お手伝い・助け合い」行為の一環としての交通ボランティア活動として位置づけることが可能であると考えられる。
(2) 介助サービスに要するコストの明確化
交通ボランティアは、ボランティア活動であるがゆえに、基本的には無償で実施されるべき活動である。
しかし、前述のように介助サービスの内容によっては、被介助者にとってサービスを受ける必然性があり、かつ介助する側にとってもある程度の専門知識と技術を必要とする上、リスクも大きいサービス内容もあり、こうしたサービスについては、介助する側の知識・技術の取得やリスクヘッジのための保険加入等へのコスト負担を考えると、被介助者に対してもある程度有償にて対応する必要があるものと考えられる。
一部の介助サービスを有償化することは、当該行為を行うものがプロ意識を持って取り組むことにつながり、前述の万一の事故発生時の責任問題についてもより明確化できるものと考えられる。
ただし、ここでは被介助者が負担すべきコストを被介助者自身が負担するのか、社会福祉の一環として社会が負担するのかについての検討は別の機会に行うものとする。
(3) 交通ボランティアに関するルールの明確化
公共交通機関利用のためのドアツードア型の送迎ボランティアの一種としての介助サービスについては、介助する立場のボランティアについて、研修制度、資格制度や介助ルールの明確化等ある程度の制度的なしくみづくりが必要であると考えられる。
交通ボランティアの研修の場については後述のこととするが、車イスの昇降等にはある程度の専門知識と専門技術が必要であり、何らかの介助資格制度を制定することも検討を要する事項の一つであると考えられる。
また、車イスの階段の昇降のサポート等のドアツードア型の送迎ボランティアの一種の交通ボランティアは、原則交通事業者にことわってから実施するとか、交通事業者の職員立ち会いのもと実施する等のルール化についても検討の必要があろう。