(2) 広域ネットワーク化への協力体制整備
交通ボランティアをより利用しやすいものとして定着させていくためには、利用者である高齢者や障害者の移動に対応した広域ネットワーク構築が求められるものと考えられる。
行政・自治体・社会福祉協議会へのヒアリングの中で、ボランティア団体のネットワーク化については、各自治体ともNPO法の施行と前後してようやく取り組みが始められているという状況であったが、同一市町村内あるいは同一都道府県内でのネットワークがほとんどであり、隣接する都道府県単位では、行政・自治体・社会福祉協議会といった公的機関を介したボランティア団体ネットワークはほとんどみられなかった。
現在、こうした都道府県単位を超えたボランティア団体のネットワークは、個別活動ごとに民間のボランティア団体等を介して形成されているケースが多い。
こうした状況の背景には、前述のように各都道府県単位でのコスト負担の問題等が存在することやNPO団体やボランティア団体の実態が現状ではまだ完全に把握されていないこと等の要因があると考えられる。
しかし、今後交通ボランティア活動を普及させ、高齢者や障害者の移動を確保していくに際しては、行政、自治体、社会福祉協議会においても都道府県単位を超えた広域間でのボランティアネットワーク化への情報基盤整備、連携等の協力体制整備が求められるものと考えられる。
(3) 交通施設に関する広域情報提供体制の整備
交通施設のバリアフリー化の整備については、各自治体とも福祉の街づくり条例等で整備基準を定めて、整備基準に沿った施設整備を進めている。しかしながら、各自治体では管内の交通施設等の現状把握については、必ずしも十分とは言えず、管内のバリアフリー情報を含む福祉マップの作成を民間のボランティア団体に頼っているケースも多かった。
交通ターミナルに関するエスカレーター・エレベーター等ハードの整備状況や、高齢者や障害者向け専用窓口の有無等交通施設に対する情報は、各交通事業者が自社の営業エリア内で提供しているケースが多い。しかし、都道府県単位を超えた広域間での情報提供が今後必要になると想定され、公共的な立場の行政や自治体、社会福祉協議会の協力が望まれている。