さらにいずれのケースでもインターネット等のメディアの利用例はなく、交通事業者の営業エリア外で高齢者や障害者が公共交通機関を利用するために必要な情報を即時に入手することは難しいというのが現状であった。
こうした状況をうけてボランティア活動団体及び高齢者・障害者の利用者は、交通ボランティア活動を実施あるいは利用する際に交通事業者からの交通ターミナル施設や利用方法に対する情報提供ニーズが強く、今後交通事業者においては、これらの情報提供を内容提供方法の双方において充実していくことが望まれる。
6-2. 民間ボランティア団体の協力体制の整備
(1) 交通ボランティア関連活動団体の協力の拡大
交通ボランティアの実施に際しては、車イスの介助方法、視覚障害者の介助方法等、介助される方の立場にたった対応が求められる。こうしたことより、高齢者や障害者と接する機会のある、福祉ボランティアや移送サービス等の交通ボランテイア関連活動団体の交通ボランティアへの協力は、交通ボランティア活動を一般に広めていく上で重要な意味を持つと考えられる。
しかしながら、現状ではこうした交通ボランティア関連活動団体の多くは、サービス対象者を会員や特定の施設の入所者に限定しており、不特定多数の人が交通ターミナル等でサービスを受ける交通ボランティアとはなじみにくい部分もある。
こうした状況を鑑み、今後交通ボランティア関連活動団体の交通ボランティア活動への理解と協力の拡大が望まれる。
6-3. 行政・自治体の協力体制の整備
(1) 地域外の利用者に対するサービスの提供
全国の行政や自治体、社会福祉協議会等では、高齢者や障害者に対して提供している移送サービス、ガイドヘルプ等の各種福祉サービスは、当該地域の住民へのサービスが基本であり、交通ターミナルを利用する地域外の高齢者や障害者にサービスを提供することは当該サービスに要するコストが当該地域の予算で負担されていることを考えると困難である。
しかしながら、実際に公共交通機関を利用する高齢者や障害者は当該地域の住民だけではないため、広域の行政、自治体間での提携や公的機関による地域外住民に対するサービスコストの負担等の解決策の整備の必要性はあるものの、行政、自治体の協力による地域外の利用者に対するサービスの提供が求められるものと考えられる。