日本財団 図書館


6. 交通ボランティアに対する協力体制の整理

 

これまでの高齢者・障害者調査、交通事業者調査、ボランティア活動団体調査、行政・自治体調査の結果をもとに、それぞれの関係者がそれぞれの立場からの交通ボランティアに対する考え方を持っていることがわかった。

ここでは、これらの結果をもとに、運輸交通事業者、ボランティア団体、地方自治体のそれぞれの関係者に求められる、交通ボランティアへの協力体制のあり方について整理をすることとする。

 

6-1. 運輸交通事業者の協力体制

 

(1) 交通ボランティア活動目的の改札内への入場の許可

 

交通ボランティア活動のうち、きっぷの購入の支援や行き先案内等以外の階段の昇降支援、ホームでの誘導等の支援活動は、全て改札内での活動となる。

この場合、通常であれば交通ボランティア活動者が改札内に入場するためには、入場券を購入する必要があり、また介助のために改札の入出場を繰り返せば、その回数分だけ入場券を購入しなければならない。

現在、鉄道事業者各社では、身体障害者に付き添う介護者についての運賃等の割引制度(JRの場合は第一種身体障害者及び知的障害者の付き添い介護者は特急料金・運賃等が通常料金の5割引)はあるが、介護のための入場についての制度等は今回の調査対象先の中では把握できなかった。

こうしたボランティアの経済的負担を軽減するために、交通事業者に交通ボランティア目的での改札内への入場時に入場券を免除して欲しいという意見がボランティア活動団体調査の中で聞かれた。この点については、交通事業者側でも航空会社を除いて前向きに協力を検討したいといった意見もあり、今後交通ボランティア事業の拡大に伴い、運輸交通事業者の協力が望まれる事項である。

 

(2) 交通バリアフリー実現に向けての交通事業者側からの情報提供

 

高齢者や障害者にとって利用しやすい公共交通機関の実現のためには、エレベーター・エスカレータの整備といったハード面の整備とあわせ、介助等のソフト面の整備も必要であることは前述のとおりである。

しかしながら、こうした交通ターミナルや車両等のバリアフリーの整備状況や障害者専用窓口の有無等の情報提供については、事業者によって取組みの考え方に大きな差があり、駅へのパンフレットの配置、車内での案内表示等を実施している事業者から、主要駅で請求をしないとこうしたパンフレットが入手できない事業者まであった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION