(3) 公共交通機関におけるバリアフリー情報提供の広域化
公共交通機関のバリアフリー化がハード面・ソフト面で徐々に進展するにつれ、移動制約者の行動範囲も拡大しつつある。こうした状況のもと、公共交通機関ではエレベーターの設置位置や障害者用トイレの位置等、バリアフリー化に関する様々な施設整備状況についての情報を専用パンフレット、広報誌等を通じて提供している事業者も増加しつつある。
しかしながら、こうした情報は、多くの場合提供メディアが「紙ベース」であるがゆえ、実際には当該交通機関の運行地域内でしか入手が難しく、運行地域内においても交通機関利用者がみずから請求しなければ、パンフレット等の入手ができないといった問題点がある。今後、インターネット等の情報メディアを利用し、利用者が誰でも、どこでも、いつでも、公共交通機関のバリアフリー情報を入手できる体制づくりが求められる。
(4) 交通事業者と交通ボランティアとの責任関係の明確化
近年、交通事業者においても合理化、リストラの進展により職員数は減少しつつあり、繁忙時や早朝・深夜等の時間帯を中心として、移動制約者の介助にあたる職員が十分に確保できないといった現状がある。こうした背景のもと、交通ボランティアの必要性については、ハード面でのバリアフリー化が様々な制約要因で進められない交通事業者を中心に、必要ありとしている事業者も多い。
しかしながら、一方では本来、交通事業者の責任において安全の確保をすべき、駅構内とりわけ改札内、車内等において、一般の交通ボランティアが活動を行うことについては、万一、階段やホームからの転落事故等の重大事故発生時に誰が最終的な責任を負うのかについて懸念する意見も聞かれた。
こうした、交通事業者と交通ボランティアの責任関係の明確化については、交通ボランティアが交通事業者の協力のもと活動を行うために検討が必要な問題点の一つであると考えられる。