3-4. 運輸交通事業者の駅等における介助業務の問題点
これまでの調査結果をもとに運輸交通事業者の駅等における介助業務の問題点について整理してみた。
○ 駅等におけるハード面のバリアフリー化の取り組みの遅れ
○ 駅等におけるソフト面のバリアフリー化の整備
○ 公共交通機関のバリアフリー情報提供の広域化
○ 交通ボランティアと交通事業者との責任関係の明確化
(1) 駅等におけるハード面からのバリアフリー化の取り組みの遅れ
鉄道事業者の駅等におけるバリアフリー化については、エレベーター・エスカレーター等のハード面の整備は、コスト面、スペース面での制約要因の解決が必要なケースも多く、ハード面の整備には、まだ相当な時間が必要であると考えられる。
また、バスの場合は、ノンステップバスの運行には道路の改善等バス会社だけの改善活動だけでは解決できない課題もあり、地域全体でのモビリティ確保に対する取り組みが必要になることもわかった。
(2) 駅等におけるソフト面のバリアフリー化の整備
鉄道駅を中心とした、エレベーター・エスカレーター等のハード面のバリアフリー化の遅れを人的にカバーするものとして、公共交通事業者による移動制約者の介助という人的な支援が必要となる。
しかしながら、現時点では最もこうした対応が必要な鉄道事業者においては、移動制約者向けの公共交通機関利用の専用窓口を設置している事業者は少なく、交通事業者職員の介助方法に関する研修やマニュアルの整備も事業者として組織的に運用されている例は多くはない。
実際には移動制約者の介助の現場に居合せた、個々の職員の技術や能力といった俗人的な要素のみに依存した介助となっているケースが多いのが現状である。
一方、航空事業者では、早くから高齢者や障害者の利用者に対する介助方法等の研修を実施しており、マニュアルも整備されていた。
こうした人的支援については、交通事業者にとって、ハード面の整備に比べ、コスト面、スペース面等の制約要因が少ないことより、障害者団体等との協力も含め、鉄道事業者やバス事業者においてもより積極的な取り組みが求められる。