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一方、視覚障害者にとって必要な点字による運賃・時刻表・乗り換えの案内等については、整備されているが、自動券売機については券売機の機種によっては点字対応していない機種や普通乗車券以外に特急券等の購入も可能としてあるため操作が複雑で視覚障害者にとって使いにくい機種もあった。さらに、行き先案内等の音声による案内は、実施していない駅がほとんどであり、視覚障害者にとっては利用しにくい駅が多かった。

車両面では、特急列車等の優等列車を中心に車イス用の座席や障害者用トイレ等の設置が進められているが、いずれのケースも平成8年以降に新製された車両が中心であり、普通列車等については、トイレ等の整備が進んでいない。

私鉄においては、JR同様エレベーターやエスカレーターの設置については、駅舎の改良工事等に合わせて設置されているケースが多いが、今回調査対象としたターミナル駅等の主要駅が中心であり、郊外の駅や普通列車しか停まらず乗降客数の少ない駅等においては、バリアフリー化が進んでいないケースも多かった。

地下鉄や新交通の中でも、J駅やK駅のように平成5年以降に開通した路線では、全ての駅においてエレベーター又はエスカレーターが設置されていた。特にK駅では乗客の転落防止用のホームドアについても設置されており、車イス使用者や視覚障害者等も安全に利用できる施設となっていた。

また、路面電車を運転している路線では、駅施設のバリアフリー化に加え、ホーム(電停)と車両との段差が車イス使用者等にとって利用を阻害する要因となっており、超低床車両(LRT)の導入等によるバリアフリー化対応をしていた。

 

4] 駅等におけるバリアフリー情報提供の現状

 

駅等におけるバリアフリー情報提供の現状については、JRグループ各社の今回調査対象とした駅では、時刻表にエスカレーターやエレベーター、障害者用トイレの位置等に関する情報が掲載されている。こうした状況のもと、時刻表以外の形での駅独自での情報提供をしている例はD駅で地元の自治体に対して詳細な情報提供を実施しているのみに過ぎなかった。

私鉄の場合は、大手の私鉄のA駅では、主要駅を中心に各駅ごとのエレベーターやエスカレーターの位置やホームから出口までの導線を詳細に示した地図を作成し、希望者に配布していた。

また、各社では駅の出入り口や改札口の付近に簡単な駅構内の案内図やサイン等でエレベーターやエスカレーターの位置等を示していた。

地下鉄及び新交通では、今回の調査対象先の経営が公営であったこともあり、各事業者で独自の案内パンフレットや駅ごとの地図等を作成していた。

特にA駅と同じ地区のJ駅では、A駅同様に主要駅ごとのマップを作成していた。このように同地区内で詳細なマップを作成している事業者がある場合、競合他社も同様のマップを作成するといった傾向が見られた。

 

 

 

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