2] 介助方法につちいての研修・マニュアルの有無
高齢者や障害者の駅等の利用に際しての介助方法についての研修やマニュアルの有無については、JRグループ各社においても対応に差が見られた。
JRグループのD駅の場合、車イス使用者や視覚障害者の具体的な介助方法を図等を使って示した介助マニュアルを含めた業務マニュアルを作成しており、この中には、介助方法、自社の所有車両別のドア幅等を示し、各車両ごとに車イス乗客が乗車可能なドアの位置等がわかるようになっていた。
一方、別のJRグループのE駅では、特に研修を実施したり、マニュアルを整備したりということは実施していなかった。
私鉄の場合は、E駅やF駅においては、介助方法に関する研修を実施しており、マニュアルについても整備していたが、G駅では研修も実施しておらず、マニュアルの整備もないといった具合でやはり各社によって、取り組み体制に大きな差が見られた。
また、H駅では、会社としての介助方法の研修等は実施していないが、労働組合が中心となって障害児が自社線沿線の遊園地の利用ができるよう、組合員がボランティアでサポートするといった活動を通じて、介助方法についての職員の意識の高揚と知識の習得を図っている事例もあった。
地下鉄の場合は、今回の調査対象先が公営地下鉄であったこともあり、研修の実施またはマニュアルの作成といった形での取り組みを行っている事業者が多かった。
3] 駅等におけるバリアフリー化の実態
駅等におけるバリアフリー化の状況については、JRグループ各社では、大都市圏を中心に駅舎の一部または全面改良工事を進めており、こうした駅ではエレベーターやエスカレーターの整備を中心にバリアフリー化が進んでいた。新幹線が乗り入れているE駅では、新幹線駅部分については、バリアフリー化が進められているが、在来線部分については、エスカレーター等についても必ずしも十分に整備されていなかった。
JRグループのI駅では、現在改良工事を進めている最中であるが、行き止まり駅であるため、跨線橋や地下道を利用しないで各ホーム間の乗り換えが可能な構造とする等の対応もとられていた。さらにI駅のある事業者では、郊外の古い駅等ではこれまで乗客の安全確保の観点からホーム端のスロープ状の職員専用通路を閉鎖していたが、車イス使用者には駅員立ち会いのもとでホーム端のスロープと踏み切りを利用して乗降ができるようにしているという対応をしていた。こうした対応については、既存の施設を人的対応でカバーしながらバリアフリーを確保する一つの方法として注目できる。
さらに、地方を中心に郊外駅の中にはホームの高さが昔のステップ付きの車両の高さに合わせたまま低くなっている駅もあり、こうした駅では車イスでの乗降が極めて難しくなっている。