また、特に公営交通においては、情報提供が進んでいることがわかった。
しかしながら、こうした情報提供は、パンフレット、ステッカー等の紙ベースの情報提供に留まっており、当該交通事業者の営業エリアを生活圏としない利用者、すなわち遠隔地からの利用に際しての事前の情報収集ニーズに対応した、インターネット等による情報提供の必要性があると考えられる。
5] 交通ボランティアに対する考え方
ここでは、交通事業者の立場からみた、交通ボランティアに対する意見をたずねた。なお、ここで取り上げている意見は、交通ボランティアに対する認知が十分にされていない現状において、交通事業者の組織としての意見ではなく、意見をたずねた担当者の個人的見解も含まれていることをはじめにお断りしておく。
交通施設内で実際に活動を行っている、交通ボランティアの有無については、交通ボランティアが「あり」という事業者は、今回調査対象事業者の中では、ほとんどなかった。交通ボランティアが「あり」としている事業者においても、定期的な活動ではなく、障害者のイベント等の際にサポートをするといったものであった。
交通ボランティアが「ない」とする事業者が多い中で、今後事業者の立場からみて交通ボランティアが必要性についてどう考えているかについては、交通ボランティアが無条件で「必要」とする事業者は少なく、「被介助者、介助者双方の安全面等の解決すべき問題が解決されれば必要」といった条件つきで必要性を唱える意見があった。一方、「駅員で対応したい」とする事業者や「必要でない」とする事業者もわずかながらあった。
その他の意見としては、「交通ボランティアという形にとらわれず、周囲の一般のお客さまが必要に応じて手伝って頂くのがよい」という意見もあった。
交通ボランティア導入にあたっての課題としては、「万一ホームや階段からの転落事故等が発生した場合の交通事業者と交通ボランティアとの責任問題の位置づけを明確化しておく必要がある」といった指摘をした事業者があった。
特に、駅構内の施設に慣れない一般の方が構内で活動するのは事業者の安全確保の上から心配があるという具体的な意見もあった。