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3] 駅等におけるバリアフリー化の実態

 

駅等におけるエレベーター・エスカレーターの設置等のバリアフリー設備の整備状況の実態については、エレベーターやエスカレーター、障害者用トイレといった車イス使用者のための設備については、今回調査対象とした23事業者の中では、比較的整備が進んでいた。

一方、誘導ブロック、運賃・時刻表・乗り換え等の点字案内、点字つき券売機といった視覚障害者向けの設備の設置状況については、今回調査対象とした23事業者の中では、約半数程度で整備していた。しかし、運賃・時刻表・乗り換え等の音声案内といった設備については、今回の調査対象事業者の中では、あまり整備されていなかった。

今回の調査対象駅については、大都市の主要駅が多く、大都市圏においても郊外の駅等では、こうしたバリアフリーのための設備が整備途上にある駅も多くなっているものと考えられる。

また、事業者からバリアフリー施設整備上の問題点として指摘のあった事項としては、整備に要するコスト面での問題点を指摘する意見が多かったが、老朽化した跨線橋にエスカレーターを設置するとエスカレーターの重みに跨線橋が耐えられないため、エスカレーターの設置のためには跨線橋ごと交換が必要になるといった問題を指摘する事業者もあった。

 

4] 駅等におけるバリアフリー情報提供の実態

 

駅等におけるエレベーター・エスカレーター等の設備の整備状況に関する情報提供の実態については、今回調査対象事業者の中では、半数超の事業者で情報提供を実施していたが、パンフレットやポスター、自社の広報誌、時刻表への掲載といった紙ベースでの情報提供がほとんどであり、インターネットのホームページ等にバリアフリー情報を提供している事業者はなかった。

さらに情報提供をしている具体的なメディアや内容についても、事業者により大きな違いがみられ、パンフレットと広報誌等複数のメディアを利用して情報提供を実施している事業者がある一方で全く情報提供をしていない事業者もあるといった状況であった。内容についても、主要駅を中心に車イス利用時に実際に利用可能なエレベーター・改札等の導線を詳細に示したマップを作成している事業者もあった。とくにエレベーター等の施設は繁華街等に隣接する商業施設のエレベーター・エスカレーター等を交通ターミナルの施設と併用している場合、利用可能な時間が制限されるケースもあり、利用時間に関する情報を含めた形での乗り換え案内マップを作成していた。

駅等におけるバリアフリー情報提供については、交通事業者によって取り組み姿勢にかなり大きな差が見られることがわかった。全体的な傾向として、バリアフリー化の設備が比較的整備されている事業者では情報提供に積極的であるが、整備が進んでいない事業者では情報提供に積極的でない傾向にある。

 

 

 

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