日本財団 図書館


3. 運輸交通事業者の駅等における介助業務の実態及び問題点の把握

 

3-1. 鉄道分野における介助業務の実態及び問題点の把握

 

(1) 鉄道事業者における介助業務の実態及び問題点の把握

 

1] 受け入れ体制と利用方法

 

今回調査対象とした、鉄道事業者においては、高齢者や障害者の受け入れに際し、専用の窓口を設置し専門の担当者を置いて対応している事業者は少なく、近くにいる係員が対応するという体制の事業者が大半であった。

こうした背景には、多くの鉄道事業者においては、合理化やリストラに取り組んでおり、駅等においても職員数が減少していることが影響していることも考えられる。

利用方法については、大半の事業者で事前の予約は不要としているが、人数が多い場合(大半の事業者では高齢者や障害者からの一回の利用依頼あたりー人程度の利用しか想定していない)や係員の少ない時間帯にはすぐに対応できないケースもありうるとの回答をした事業者もあった。さらに、終日無人駅及び早朝や深夜等の時間帯に無人となる駅等も増加しつつあり、職員が足りないケースも発生してきている。

職員が足りない場合には駅構内の乗客担当以外の職員に依頼したり、近隣の駅等に応援を依頼するケースが多く、場合によっては、近くの乗客に応援を依頼するケースもあった。

このように、鉄道事業者における高齢者や障害者の受け入れ体制については、専門の体制を組んでいるケースは少なく、通常の乗客対応の範囲の中で対応していることがわかった。

 

2] 介助方法についての研修・マニュアル等の有無

 

高齢者や障害者が駅等を利用する場合には、視覚障害者のガイドヘルプや車イスの階段の昇降等、介助方法についてある程度の技術や知識が必要なケースも多い。こうした介助方法についての研修を介助を担当する駅職員等に実施したり、高齢者や障害者が駅等を利用する場合の注意事項や介助方法についてのマニュアルを作成している事業者は、いずれのケースでも、今回の調査対象23事業者の中では、3社に1社程度の割合であった。

こうした介助方法についての研修やマニュアルについても内容に関しては様々である。ある事業者では、研修やマニュアル作成に際して、地元の社会福祉協議会や身体障害者団体等と協力して、実際に利用される身体障害者の意見を取り入れていた。また、別の事業者では、社会福祉協議会の作成したマニュアル等の一般的な資料をそのまま利用している事業者もあった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION