5.2 ホーム構造とホームドア設置
既設駅は、ホーム建築構造が各駅で異なり、さらにホームに付帯する配線配管など電気設備も各駅で異なっている。また、同一駅のホームでも、建設時期、他の構造物や設備との関係で各種のものが混在している駅もある。
このため既設駅へのホームドアの設置については、一様な検討ができないことから、代表例としてコンクリートタイプ、PC板タイプ、盛土タイプのホーム構造について、設置方法を概略検討した。
(参考資料(1)〜(6)にコンクリートタイプ、PC板タイプ、盛土タイプのホーム構造例、ホームドア固定・ホーム補強例およびホーム強度設計値例を示す)
(1) コンクリートタイプ
コンクリートタイプのホームは、背筋入りのコンクリート構造、モルタル、アスファルトブロックから構成されている。
ホームドアの設置は、基本的にはアンカーボルトによる固定となる。
なお、ホーム縁端側に荷重が加わるため、補強が必要な場合も想定される。補強方法はホーム縁端下の軌道設備との関係で各種方式を必要とするものと想定される。
ホームドア設置に当たっては、具体的な駅のホーム構造に基づき詳細検討が必要であるが、ホームドアの設置は可能と考えられる。
(2) PC板タイプ
PC板タイプのホームは、ホーム上面PC板、PC板固定用部材およびホーム構造部材から構成されている。
ホームドアの設置は、具体的な駅のホーム構造に基づき詳細検討が必要であるが、ホームドア下部と固定用部材とでPC板をサンドイッチ構造で挟み込む方式、あるいはPC板下部のホーム構造部材を支持部材として活用する方式などにより可能と考えられる。
(3) 盛土タイプ
盛土タイプのホームは、ホームの軌道側面をタイル、石積み、あるいは間柱と土留板などにより土留めし、ホーム上面をタイル、アスファルトブロックなどで仕上げた構成となっている。
ホームドアの水平荷重を支持するためには、方法としては支持用アンカーの打ち込みおよびアンカーのターンバックルによる支持等が考えられるが、大がかりな工事となることが予想され、ホームドア設置に合わせ大規模改修をはかるような形となりかねないと考えられる。
このため、今後施工方法の詳細検討と、コンクリートタイプのようにアンカーボルトによる固定方法によらない簡易な支持方式の創出が必要である。