5.3 電位差対策
5.3.1 ホームドア設置に伴うホーム環境の検討
現状の普通鉄道おいて、車掌が一方の手を車両に他方の手をプラットホームのホーム柵に触った場合に電気を感ずることが報告されている。
ホームドア(金属製)をプラットホーム上に設置すると、上記同様に旅客が上記の様に電気を感じる場合が生ずる。
その様子を図5.3-1に示す。
よってホームドア設置に当たっては、心臓の弱い人を考慮してこの電位差対策を講じることはもちろんであるが、どのような車両(鉄輪方式かゴム輪方式かなど)でこの対策が必要かを明確にする必要がある。
5.3.2 電位差発生の理由
車両からの乗降時に、乗務員、旅客が感じる電位差の発生理由は表5.3-1に示すとおりである。
鉄輪使用の車両は、変電所供給の駆動電源の帰線として鉄レールを使用している。
しかしこの帰線電流は大地にも漏洩する。
この漏洩電流は、負荷側では大地に流れ込み(即ち、レールは大地に対し+電位となる)、また、変電所側では大地よりレールに戻る(即ち、レールは大地に対し-電位となる)。
この値は、電気鉄道便覧によるとピーク値で±100V以上あると言われている。
なお、この電位差は該当駅が走行中列車と変電所との間の中間よりどちらに位置するかにより+か-の極性が決り、負荷の近く(例えば、隣番線の列車が起動)かまたは変電所有り駅での値は大きい。
一方、モノレール等のゴム輪使用の車両は変電所への帰線電流を大地から絶縁されたトロリーを介しているので漏洩電流の影響は無く、またプラットホームでは車体を強制接地しているので電位差は生じない。