この他、経済的面での持続可能性ということでは、きちんとした交通サービスが安定的に供給できていること、すなわち効率的なサービスを行い、それが社会的に公共交通が必要ということになれば、何らかの形で財政的にも継続できるような環境を整えることが必要であるということになると考えられます。
社会面ということでは、公平なモビリティの確保、とくにライフサイクル全体を通じて幼児から高齢者に至るまで容易に移動できるという環境づくりが必要となる。すなわち、あらゆる年齢層で、どこに住んでいようと、徒歩や自転車といった手段以外に何らかの交通手段があるということが非常に重要なことではないかと考えています。このように車だけでは支えられないという一面もみられ、ミニマムとしてのモビリティの確保、この中にやはり公共交通をきちんと確保していくことが重要といえます。
世界的にはこのような生態的・環境的持続可能性、あるいは経済的・財政的視点からみて交通サービスの安定的供給がはかられるという意味での持続可能性の他に、社会的視野からみたミニマムの交通サービスが全ての人に全ての場所で確保できているという意味での持続可能性が必要だといわれており、この3番目はわが国でも通用するような目標ではないかと思います。
(4) 政策アプローチのパラダイムシフト
そうした中で政策的なアプローチも当然変わっていかなければならないと思います。従来の需要追随型という形で、需要の増大にあわせた施設整備は、いくら道路財源があるといっても無理があるのではないかと考えています。とくに環境問題等を考えますともっと総合的なアプローチが必要ではないでしょうか。そういう意味で交通需要マネージメントという形で、需要サイドで、とくに車に依存しなくても済むようなライフスタイルであるとか、産業の仕方等を同時に進める必要があります。
そのためには代替交通手段として車以外の公共交通・徒歩・自転車のサービスが安全に確保できているという供給側のアプローチ、さらにそのベースとなる制度・フレームワークが新しい時代に対応した制度、例えばロードプライシングというように道路を使っている人に社会的費用を負担していただくことで自動車交通需要の調整を図り、その収入が公共交通等の整備に流れていくというような大きな仕組みが必要ではないかと思っています。これが統合パッケージ型アプローチといえます。このように、21世紀に向かって新しい交通社会を各方面から創って行かなければならない。