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ロ.事業に対する助成

インフラ部分(公共交通機関の停車場周辺、プラットホーム、出入り口周辺)の整備については、整備費の30%を補助する(但し、パリ市などは自治体が負担)。乗換えの改善整備には40%の補助率である。

設備部分(移動制約者のアクセシビリティとスムーズな切符購入が可能な駅と停留所)の整備については、整備費の20%を補助する。乗換えの改善整備を含む場合は、30%を補助する。

車両に関しては、移動制約者専用車両の購入と整備に30%を補助する。(但し、イルドフランス地方では、車両購入をSNCF-フランス国鉄とRATP-パリ圏の交通事業体-が負担するが、STPに必要な補助金を申請する。STPは行政上の決定権を有する機関)。

なお、移動制約者対策に限らず、自動車利用抑制策と公共交通機関の整備促進を図るために、公共交通機関の建設・運営に対する助成が行われている。国からの補助率は、地上部の建設には30%、高架部には25%、地下部には20%、運営費27〜63%(3セク運営の場合)である。

 

2] 地方自治体による支援

地方自治体による支援策は、一律の規定はなく権限は地方に分散されているため、多岐にわたる。支援策は、県議会での決定や国との契約等で決まる。

なお、公共交通全般において、自主財源となる交通税の税率を引き上げることができる(上限あり)。交通税とは、各都市圏で従業員10人以上の事業所に課税し道路および公共交通機関の整備、運営費補助に充てる目的税である。この制度は、フランスの各地方自治体の判断で行われている。1994年度の例では、地方都市全体の公共輸送事業予算のうち、交通税収入が約4割を占めており重要な財源となっている。主に公共輸送サービスの改善、拡張等に利用されている。

 

3] 雇用主による支援

行政からの助成のほか、移動制約者は雇用主から通勤費の補助金を支給される。これは、1982年8月4日法律で定められており、これによりパリ地方では、雇用主がバス地下鉄共通乗車バス代金の50%を移動制約者に支給している。移動制約者が補助を受けられる条件は以下のとおりである。

●移動区間は自宅と職場間に限る

●利用する公共交通は、パリ輸送の事業主体が運営する範囲内に限る

●2等定期とする

●通勤について、この補助以外に手当てを受け取っていないこと

 

 

 

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