組織の概要
人員は50人程度であり、そのうち常勤は10人である。委員長は行政当局外の人間(現在は、世界傷痍軍人会の会長)が就任することになっており、これは委員会の中立性を担保するためである。
その他のCOLITRAHのメンバーは、さまざまな利害関係者から構成されている(下記)。
このような委員会が、障害者交通というテーマに限らず、フランスでは行政の中心的役割を果たしていることが多い。政策立案の早い段階から広く関係者を参加させることで、結果的には政策が円滑に施行されるという考えに基づくものである。
業務の内容
a. 勧告
主要メンバーが討議する中で、障害者の交通に関する基準・規格を定め、運輸大臣、各県自治体に対して多くの勧告を行っている。障害者に配慮すべき整備の対象の主要例は以下のとおりである。
・鉄道(地下鉄を含む)の駅舎
・バスとバス停留所
・望ましいSTサービス
・電車のネットワーク
・サインと案内システム
・ミニバス
・車いす使用者対応のタクシー
b. 情報集積・提供
国は全体施策を決定し、実務部分は地方自治体が行う。本来、地方自治体同士で情報交換を行い、施策をよりよい形で具体化させることが望ましいが、実際は情報交換はあまり行われていない。そこで、COLITRAHが、各地方での取り組み内容について情報集積を行った上で、参考になる内容を広く紹介する役割も果たしている。
c.業務の実効性
行政にとってCOLITRAHは外部機関であるため、その勧告を無視することは理論的には可能である。しかし、COLITRAHは直接、大臣に対して働きかけを行うことができ、この結果、大臣から直接命令が出されることもある。従って、COLITRAHの勧告から大きく乖離した施策を行政が行うことは実質困難といえ、COLITRAHの勧告はかなり実効性を有していると考えられる。
今後の業務展開
将来的には運輸分野に加えて、住宅も管轄業務に加えることを考えている。この場合、運輸全国評議会(Conseil National des Transports)の傘下ではなく、運輸省の大臣直轄の機関となりうる。かつては、住宅分野での障害者対策を検討する委員会も設置されていたが、期待通りに機能しなかったという経緯があり、今般、COLITRAHの機能拡大が計画されている。