2章 フランス調査対象都市の概要
1. ナント
(1) 市の基礎情報
1] 面積、人口などの概要
ナント市を中心とする21の市町村(コミューン)によって、DISTRICT1が組織されている。面積は約490km2、人口は54.6万人である。ナント市は、ロワール川河口に位置するLoire Atlantique県の県庁所在地で、パリ、リヨン、マルセイユ、リール、ボルドー、ツールーズに続くフランス第7位の都市である。
ここで、人と環境にやさしいまちづくりが、大胆に実施された。同市では、戦前に運河を埋め立てて出来た、街の中心を貫く8車線の幹線道路に、大量の通過交通が流れ込み、渋滞と大気汚染に悩んでいたが、外周道路の完成にあわせて、ここにLRTを導入し(1992)、歩道も広く取り、車道は、4車線とした。更に、1993年、歴史的街区が広く残る市の中心部52haを、この幹線道路も含めて、そっくり「ゾーン30」に指定し、都心部での、歩行者・自転車・公共交通優先を徹底した。こうして、流入通過交通の減少と、快適な都市空間の実現を図っている2。