従来の人工衛星SARではSARアンテナを1つしか搭載していないので、最初のデータを取った後、同じ軌道に戻ってきたとき、実際はわずかにずれていることを利用し、2回目のデータを取得する。将来打ち上げられるスペースシャトルでは60mのアームに2つ目のアンテナを搭載し1回の飛行で2組のSARデータを取得するシステムも発表されている。
2つのアンテナが進行方向に対して一定の位置関係で移動してSARデータを取得すると、2つのアンテナからの距離差、すなわち地形であれば標高を画像化することができる。
アロングトラックInSARは図5のように、2つのデータを軌道が全く同じで異なる時刻にデータ取得する。
それらの2組にデータを干渉処理させると、その2つのデータ取得の時刻の間に生じた変化が干渉縞となって画像化される。変化量はSARのマイクロ波の波長の1/30程度の精度で検出できる。時間は航空機のシングルパスInSARではmSオーダーであり、衛星のリピートパスでは数日から数年以上離れてデータを取得する場合もある。スペースシャトルで2組目のアンテナを搭載したアームを進行方向後方に伸ばせば、衛星搭載SARのシングルパスInSARを実現することができる。
時間が短い場合は比較的動きの早いもの、また人工衛星の例では地殻変動のように非常にゆっくりしたものまで画像化することができる。
リピートパスInSARでアロングトラックInSARを実現するためには2回の軌道を完全に一致させる必要がある。しかし現実には不可能なため、ある程度のずれは処理で補正し等価的に同一軌道から取得したデータに変換している。衛星のリピートパスInSARで地殻変動等の非常にゆっくりとした変化を検出するシステムを特にディファレンシャルInSARと呼ぶ場合がある。
4つのインターフェロメトリックSARは2組のデータの取得時間差と、アンテナの位置関係から、それぞれ全く異なった特性を有している。また、搭載されるプラットフォームが航空機か人工衛星か、また観測対象は何かによって使い分けられる。これらの関係を図6に示す。