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そして、平成10年度には、流氷に関する解析を引き続き実施するとともに、JERS-1、ERS-1/2、RADARSATを用いて、新たに海流・波浪について画像と現地調査結果との比較・解析を行った。

本事業の最も大きい成果は、問題はあるものの、(上述のPALSAR開発の点からも)新たな海氷情報解析技術の開発として、「流水」の特徴的パターンに注目し画像処理技術によって機械的に流氷の識別が可能であることが示された点にある。まさに、新技術に「こぎつけた」ところである。「流れ」については、流れによるドップラーシフトが、合成開口レーダーに海面からの輝度の低下を引き起こさせる事実をつかみ、黒潮域でSea-truth比較した結果、流れが定性的に捉えられる可能性を導き出している。なんとか「わかりそうである」というところまで達している。波浪については典型的な波浪モデルを用いた解析技術のシミュレーションの結果から解析技術の妥当性については確認されたが、実際の波浪にその方法を用いると、まだ問題が多いことが判明し、その問題点を抽出している。いま、実際上の問題点を「浮かび上がらせた」ところである。全て「完全だ」というところまで達してはいないが、これらの成果は「難しい」といわれるSARの先駆的な研究としてたいへん意義がある。

最後に、アジア航測の若い研究者たちの難しい問題に果敢に挑戦する真摯な態度と関係者各位の多くの御助言の結果として、新しい知見を得られたことに感謝致します。有難うございました。

 

 

 

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