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ただし、可視画像で海面と判読された個所がSAR画像では高い輝度で示され薄い新成氷が検出されたと思われる例や、可視画像で白い氷盤と判断された個所がSAR画像では暗く表現された例などSAR画像の肉眼判読上、注意すべき点が多いことが確認された。

(2)今後の課題

SAR画像の判読技術向上のためには、SAR画像とシートゥルース(可視画像、現地観測データ)との比較事例を蓄積し、判読のキーとなる特徴を取りまとめる必要がある。衛星による可視画像は衛星搭載型SARと解像度が同程度であるため、広範囲に分布を比較する目的には適しているが、詳細な流氷の構造は把握できない。氷種や流氷表面の状態によるSAR画像上での差を検討するためには航空機による目視、またはビデオ観測が効果的と考えられる。

また客観的な判読の方向としてはテクスチャ解析(統計量抽出、FFT解析など)、ポーラリメトリによる氷種の判別などが考えられる。

解析項目としては今後、氷厚及び移動が重要となってくると思われるが、氷厚のシートゥルースは船舶による現地観測による他ない。

 

3.1.3 海流解析

(1)研究の成果

海流に関する成果を表14にとりまとめた。

 

表14 海流に関する調査結果

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実測流速の急変部とSAR画像上の輝度値低下域の位置・幅を詳細に検討すると多少のずれが認められた。これは流速観測とSAR画像撮影との間に半日程度の時間差があることから黒潮の位置・境界部の流速分布が変化したことも原因の一つと考えられる。

(2)今後の課題

海流の解析については、画像上のパターンと実際の流況との関係を調査する必要がある。本調査のケースが特殊な事例であるのか、流速変化と輝度値の低下に一定の関係が認められるのかを確認することが求められる。

 

 

 

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