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流向に対するレーダビームの相対方向によってSAR画像上のパターンが変化すると思われ、観測方向の自由度が高い航空機SARが有効である。具体的には、流向に対して平行、直角、斜めの各方向に観測すると同時に船舶により流軸を横断する方向の表層流速分布を測定する方法が考えられる。

流速変化と輝度値低下の関係が認められれば、より定量的な解析(単位距離当りの流速変化率と輝度値もしくは後方散乱係数の低下量との相関など)によりSAR画像から流向・流速を求める技術の開発が考えられる。

また、現地観測とSAR画像との比較を積み重ねて、画像から海流のパターンを判読する技術を向上させることも重要である。これは海流解析の場面のみではなく、海流以外の現象(たとえばオイルスリックの分布)の判読において海流の影響として現れているパターンを除外するための技術としても有用であろう。

 

3.1.4 波浪解析

(1)研究の成果

波浪に関する成果を表15にとりまとめた。

 

表15 波浪に関する調査結果

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波向については、画像上にパターンが見られる程度に卓越した(空間解像度に対して波長が長く、位相が揃い、波高が大きい)波浪でなければ検出は難しいことが推測された。

(2)今後の課題

SAR画像上での波浪のパターンは波高、波向、風向、風速の他、流速分布や海底地形(浅海域の場合)などの影響も考えられる。波高・波向の検出のためには、その他の条件をできるだけ揃えるようにする必要がある。具体的には、衛星の周期性を利用して同一地点の波浪観測データと比較し、多くのケースの中から波高や波向のみが異なるケースを取り出す方法(本調査での方法を他の海域について実施する)、波浪・気象条件が一定の間に航空機SARにより波向との相対方向を変えて観測を行う方法などがある。

 

 

 

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