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(2)波向解析

波向に関しては、SAR画像から計測した波向と波浪計による実測波向との比較を行った。

1] 解析方法

各日付のSAR画像から波浪観測点を含む256×256ピクセルの小領域を切り出して2次元FFT(Fast Fourier Transformation)により卓越波向を計測した。

深水波を仮定して波長を計算すると、波長をL、周期をTとしたとき、

 

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である。実測データ(表11)によると1/3最大波の周期は6sec程度であることから、この式に当てはめると卓越波長は56.2mであり、ピクセルの水平サイズが12.5mであることからピクセル単位で表すと4.5ピクセルとなる。この波長の波は256ピクセル中には60波程度含まれることから解析対象範囲としては256×256ピクセルとした。

画像の2次元FFT解析にはARDUS社のIMAGINE Ver8を使用した。

また、スペックルノイズの影響を取り除くために、FFTに影響が少ないと考えられるメディアンフィルターをかけたケースについても処理した。

図48にFFTによる波向解析の例を示した。左側が模擬的に作成したSAR画像であり、入力波は、sin(2π(x/30-y/20))である。x方向の波長を30、y方向の波長を20と仮定した。

画像サイズは256×256であり、x方向の波数は8.5、y方向の波数は12.8である。右側が2次元FFTによる解析結果であり、横軸にx方向の波数を、縦軸にy方向の波数をとった波数空間表示となっている。

 

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図48 2次元FFTによる波向解析

 

入力波の波長から計算されるx、y方向の波数はそれぞれ8.5、12.8であり、右側の画像にはこの点に対応するピーク(高輝度値の点=その波数成分のパワーが高い)が見られる。中心(0,0)に対して対象な位置にもう一つピークが見られるが、これは画像からは波浪の進行方向が定められないためであり、波長が等しく逆方向に進む1組の波として検出されることによる。

 

 

 

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