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2.2.4 海流観測結果との比較

(1)流向・流速

SAR画像と海流観測結果とを比較するため、「沿岸流観測報告 遠州灘〜熊野灘の沿岸流(II)」からの第25図(海流図(第3回目))に示されたベクトル図をSAR画像に重ねて表示し、図39に示した。

黒潮の北側境界は潮岬南側から東に延びていた。SAR画像上の黒い線状のパターンは黒潮北側境界と良く一致していた。黒潮の北側では弱い反流や渦と思われるパターンが観測された。

潮岬から東に伸びる画像上の暗い筋と流速の急変部が一致しており、SARに見られたパターンが黒潮北縁を示していると思われた。急変部北側は1kt程度の弱い流速で流向も北から西など細かく変化していた。一方、急変部南側では2.5〜3.5ktとなり流向は東で安定していた。

また、画像上で暗い筋が二重になっている部分は南側が黒潮の北縁に一致していた。

画像の北側、大王崎の南には反時計回りの渦状のパターンが見られ、一部では画像のパターンと一致する個所も見られた。

1] 流速によるシフト量の算出

黒潮北縁部に見られた暗い部分が流速によるドップラーシフトで生じたと仮定するとその過程は、衛星の軌道に近づく方向の流速により強流域全体が衛星の進行方向(この画像の場合は下降軌道であるため画像下側)にずれて表示されるため、流速の変化する位置では輝度値の発散が生じて相対的に暗く表現された、と考えることができる。

実測流速からこのシフト量を以下の通り概算した。

052-1.gif

 

 

 

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