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2] 初期(晶氷〜ニラス〜板状軟氷)

海水が結氷点に達して初期の晶氷(グリースアイス)ができ始めると波浪(特に波長の短い風波)の発生・伝播が抑制される。このため風波のある開水面と比較してマイクロ波の後方散乱は減少する。

氷晶はニラスと呼ばれる薄い板状の氷となり、さらに成長して板状軟氷となる。これらの状態では氷盤としては薄く表面粗度も小さいが、氷盤間の衝突によって氷盤の端がめくれあがりはす葉氷と呼ばれる形状になると粗度が増加する。

3] 一年氷

生成してから時間が経過し、変形、融解、再結氷などの作用を受けている可能性が大きくなる。通常、表面粗度は大きくなり後方散乱が増大するためSAR画像上では高い輝度で表現される。表面の融解している場合や再結氷した場合などは、表面粗度が低下し後方散乱が減少、SAR画像上での輝度は低くなると思われる。

4] 多年氷

夏季の間に海氷の表面は融解し、冬季に再結氷することで塩分が排出される。このため、多年氷ではマイクロ波がある程度海氷内に進入することとなり、表面散乱に加えて体積散乱も生じる。

 

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図1 流氷の種類と散乱特性(Onstott,1992より一部改変)

 

(3)SARによる流氷観測の現状

現在、流氷観測に実用的に利用されているのはERS-1/2及びRADARSATである。両者とも北極航路を中心に流氷観測を行っているが、南極海にも応用されている。

 

 

 

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