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(2) 造船抵抗シミュレータの高度化

ランキンソース法に基づいた造波抵抗シミュレータについて、計算効率と計算精度の向上を実施し、コンテナ船型及び肥大船型に適用した。図2.3に2種類の肥大船型(SR221B、SR229船型)の船側波形の実験値との比較を示す。良好な一致が得られている。

 

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図2.3 造波抵抗シミュレータによる2種類の肥大船の船側波形の比較

 

(3) 自航性能シミュレータの高度化

NICE法を用いた船体・プロペラ・舵の干

渉を考慮に入れた自航性能シミュレータについて以下の高度化研究を実施した。

先ず、プロペラ影響の船体まわり流れのCFD計算法に入れるためにプロペラによる推力とトルク分布の推定に用いた簡易プロペラモデルについて、分割数の影響を調査し、従来から用いられていた分割方法でほぼ十分な精度をもつことが確認された。

 

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図2.4 単独プロペラ後流に置かれた舵表面圧力分布

一様流中にプロペラと舵だけが置かれたを計算し、両者の干渉影響の計算精度を検証した。CFD計算は舵に働く抗力を過大評価する傾向があるが、その原因の一つが、計算においてはプロペラ・ハブ・ボルテックスによる圧力低下が考慮されていないことにあることが分かった。図2.4にプロペラ後流に置かれた舵の表面圧力分布を示す。プロペラ中心から離れた断面Cでは実験と計算が良く一致しているが、

プロペラ中心に近い断面Eでは前縁の負圧ピークが計算では表現出来ていない。

船体・プロペラ・舵の干渉計算を行い、解像度・平滑度・直交性などの格子品質が計算精度に及ぼす影響を検討した。また、プロペラボスが及ぼす影響を検討し、これらが伴流率に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。さらに、肥大船の自航要素の計算精度をSR221B、SR229の2船型についての実験結果と比較することにより検討し、推力減少率tについては船型差による影響が、大小関係は推定できるが差が小さいこと、伴流率WTについては精度高く推定できること、プロペラ効率比η.については精度不足であることが明らかになった(図2.5)。

 

 

 

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