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2. 船体周り流場シミュレータの高度化

 

船舶の流体力学的性能を推定する、CFDを用いた船体周り流場の各種シミュレータについて、その信頼性と実用性を高めるため、高度化研究を実施した。

 

(1) 粘性抵抗シミュレータの高度化

CFDによる粘性抵抗の推定法の精度及び計算効率の向上、そして適用範囲の拡大を目的として、粘性抵抗シミュレータの高度化を実施した。先ず、舵付き船体まわりの格子生成法を改良し、従来の直進状態だけでなく、舵角付き状態の格子生成を可能にした。また、マルチグリッド法と緩和法を用いてCFD計算法を改良し、従来の計算法であるNICE法と比較して、7〜8倍の高速化を可能にした。図2.1に示す船体抵抗値の収束状況では、NICE法ではEWSを用いて約10時間かかっているのに対して、新しい手法(NEPTUNE法)では1時間余りで収束している。新しい船型の船体抵抗が約1時間で推定できれば、CFDの実用性が大幅に向上したと言える。

粘性抵抗シミュレータの推定精度について、従来肥大船についてはSR222等で既に確認されているが、コンテナ船型についてNICE法を適用して形状影響係数1+Kの推定精度を検討した。得られた伴流分布は、図2.2(a)に示すように実験結果とよく一致しており、1+Kについても、図2.2(b)に示すように、従来の肥大船での実験結果との±2%の相関範囲に納まっており、コンテナ船型についても十分な推定精度をもつことが確認された。

 

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図2.1 船体抵抗値の収束状況によるCFD計算の高速化の確認

 

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図2.2 粘性抵抗シミュレータによるコンテナ船型周り流れの推定

 

 

 

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