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また、マレーシア本研究所はアジア太平洋のチョークポイントであるマラッカ海峡、インドネシアの群島水域を抱えており、MIMAは、これら海域が軍事・非軍事両面に及ぼす影響について研究を続けており、マレーシアの海洋戦略の確立に影響力を持つ研究所である。対談ではマレーシアの対中国観、ASEANの将来予測、マレーシアのインドネシア観、マレーシアの日本への期待などのアジア情勢に関する意見を聴取することができた。特に注目された見解はマレーシアがインド・中国との戦略バランスを考慮しなければならない位置にあり、さらにマレーシアが長い歴史の中で中国に冊封・朝貢を強制されてきたことからか、中国に対する欧米諸国や日韓とは異なる極めて深刻な脅威を中国に感じている点であった。

一方、韓国からは外務省付属研究所の海洋研究部長のセオハン・リー教授を招聘し、韓国の中国に対する見解を聴取したが、韓国が中国の隣国に位置しているため非常に厳しい戦略バランスの中で、いかに生き残っていくのかということに焦点を当てた議論がなされた。一方、最近の韓国の海洋重視の動きについて、貿易海上交通路の重視から来る海洋の重要性の認識、新大統領の個性(朝鮮半島南部出身)などもあるが、韓国は21世紀に海洋を通じて、国の安全、発展、国際社会における発言力の確保に踏み出さざるを得ないという韓国の国際化にあるとの見解が示された。このように、韓国の海洋重視政策は民主化、国際化、対日接近に寄与するものであり、この流れをわれわれは促進すべきであり、将来日韓両国が海洋における協力を進め、アジア・太平洋海域の安全な利用を図るうえで、セオハン・リー博士とキム・テイヒョウ博士から意見を聴取できたことは非常に意義があった。

一方、タイのSEAPOL(South East Asian Policy and Ocean Law:東南アジア政策・海洋法)研究所は、海洋法あるいはその他の国際法に基づく協力体制をいかに構築するかを目的とした小規模な研究所ではあるが、戦略的な問題や軍事的な側面の討議の機会を作る橋渡し、オーガナイザーの役割を果たす研究所であり、この観点からフランシス・ライ女史の招聘は極めて有意義であった。

なお、招聘者、所属・議題などは次の通りであった。

 

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