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米国は1946年から約30年の間に215件の国際的紛争あるいは紛争と呼ばれるほどではない国際的事象に対し軍事力を行使している。このうち22件の事象に対しては陸上航空部隊が、3事象に対し陸上戦闘部隊が使用されている。これに対し、海軍の関与は、陸、空部隊との協同も含めると177件と圧倒的に多いことに注目すべきである*19。冷戦期の安全保障環境のもとで、特定の政治目的を達成するために海軍が最もよく使われたのである。そして、その全ての事例で成功を収めたわけではないけれども、海軍は、戦略的安定性を損なうことなく、政治目的達成に大きく貢献してきたのである。

 

表:陸、海、空軍の国際的事象への関与実績

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出典:Blechman, Bary M. and Stephen S. Kaplan, Force without War: U.S. Armed Forces as a political Instrument, Washington D.C.: The Brookings Institute, 1978, p.40.

 

1944年、トルコの駐米大使が死亡したという何の変哲もない事象が、1946年、大使の遺族を乗せた米戦艦ミズーリーがトルコに入港した時からダーダネルス、ボスポラス両海挟の自由航行を求めてトルコにかけられていたソ連の圧力がなくなったことは象徴的事例と言えよう。

1946年以降、米軍が関与した215件の国際的な事象の約80パーセントに海軍が使用されたのは、ブース(Ken Booth)が指摘する次の7つの海軍の特長によるものと言えよう。

 

 

 

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