死体は重りを付け、縛られ、猿轡をはめられていたと言われている。6体の死体が、南シナ港沖で中国の漁船の網にかかった。また別の事件では、ハイジャックされたテニュー号は、まったく新しい船員を乗せ、中国で発見された。元の14人の船員達の運命は、分からないし、殺された恐れもある。
バングラディッシュの攻撃の数に変化はない。チッタゴン湾当局の責任者は、海軍と沿岸警備隊に、湾外の停泊地域における、24時間警戒態勢の強化を依頼した。湾岸警察は、港内での更に広い地域のパトロールを実行すよう、命令された。
1998年初頭、生産品を積載したタンカーのハイジャックと、その積み荷の強奪に関する明らかな増加傾向があった。1998年最終四半期では、海賊達は、積み荷運搬船と一般的な積み荷船のハイジャックに移行した。これは、タンカーが、もはや、ターゲットではないことを意味するわけではない。不法な積み荷、オイル、ばら荷のバイヤーがいる限り、海賊は、ハイジャックを続け、不法貿易はなくならないだろう。経済の後退、アジアへの脅威と共に、攻撃やハイジャックされるより多くの船の危険に関し、1999年の変化を期待することはできない。
過去12か月の192の攻撃についての説明は、21から43ページにある。以下では、それぞれの事件を、詳細に説明している。
1998年第1四半期
ブラジル
石油タンカーイソメリア号は、1998年1月9日明け方に、ブラジルのサントスのペトロプラス・ターミナルで、ブタン・ガスとプロパン・ガスの積み荷を下ろしているときに、海賊達に乗り込まれた。海賊が国際シェル海運が保有する船舶に攻撃したときに、二人のイギリス人乗組員が撃たれ、怪我をした。女性の二等航海士が、胸とひじを撃たれ、見張り役は足を打たれた。
深夜の見張り交代のすぐ前に、海賊達は金と貴重品を求め、小型高速艇を使い、この船に乗り込んだ。船長のジョン・ピースは、「三人の海賊達が、三等航海士をブリッジに無理やり連れて行かせる間、士官と二人の見張りを一人の海賊が警戒した」と言った。海賊はウージー機関銃で武装していた。彼らは、女性二等航海士デボラ・ハリソンに、船長のキャビンと彼女の部屋に案内するように命令した。二等航海士のキャビンへ行く途中、三等航海士が逃げた。その音によって起きた一等航海士は、海賊によって捕らえられた。時計と金銭を強奪した後海賊達の部屋に、船長と一等航海士を閉じ込めた。船長と一等航海士は、何とか部屋から抜け出し、別々にブリッジに向った。
すでに、通り掛かりの船によって報告されていたので、警察当局は、見張り役を警戒していた一人の海賊を、到着後に撃ち殺した。ほとんど同時にハリソン二等航海士と、まだ残っている三人の武装海賊はその場に到着した。