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(2)沿岸諸国における国内の不安定性

(3)海洋における重なる領域要求に関する近隣諸国間の争い

東アジアにおいて国際的重要性を持つ多くの海峡がある。例えばマラッカ海峡、スンダ海峡、ロムボック海峡は、インド洋と太平洋間の主要な通路である。後者の二つは、インドネシア諸島の海に分けられ、前者はインドネシアとマレーシアの領海の一部である。これらの海峡には沿岸諸国による船の通行妨害の試みは、もしスエズ運河と湾岸の経験が指針であるなら、この地域のシーレーン防衛に対する脅威を示すかもしれない。

沿岸諸国による拡大する海洋支配権や過度の要求は、更に危険であろう。例えば、1977年に、北朝鮮がその国の利益と主権を守る為に、50マイル軍事境界ゾーンを宣言した。その場所は東海(もしくは日本海)の領海の基本線から50マイルまで、そして黄海の経済ゾーンの境界線までである。このゾーンにおいて(海上、海空)、その宣言によると、外国人、外国軍船そして外国軍航空機の行動は禁止され、民間の船や航空機は適切な合意か承認を持ってのみ、航海し飛行する事を許されている。それに加えその地域において民間の船や航空機は、軍事目的の行動や経済的利益を侵害する行動を行う事を許可されていない。従って支配権において、軍事ゾーンは外国船が自由に通行する権利がある領海より更に独占的に見える。

同じように、中国は三十年以上もの間、軍事的目的の為に、その領海のかなり外の沿岸地域における制限を宣言してきた。最近、黄海において中国によって二つの防衛ゾーンが宣言された。一つは北朝鮮と中国の国境、Yalu河の河口からSHANDONG半島の地点までの線の西側に広がる軍事警戒区域である。この区域はBo-Haiを含み、ほかの国々が公海とみなしている地域だけでなく、領海も合法的に要求した。この地域に入る事は中国当局の特別許可を持ってのみ許される。もう一つは上海近辺の軍事排除区域である。この海域では、特別な許可なしに自由な航海をする事は禁止されている。

防衛目的の海域を設立する考えは、国連憲章の第51条に基づく緊急時の自己防衛の例外的手段として正当化されるかもしれない。しかしながら永久的な防衛区域の考えは本来受け入れにくい。何故なら、そのような拡大する海洋支配権は、公海の自由航行を妨げるからである。

 

3 海賊行為

 

海賊行為は、その地域において、海上防衛に対し新たに浮上してきた脅威の源の1つである。東アジア地域における海賊行為の最も一般的な傾向、現代の海運に対する海賊行為は、「ヒット・ロブ・ラン」、つまり、短期間の船の奪取と窃盗行為によって、特徴付けられる(ICCの国際海事局によると、平均的な犯行時間は30分であり5000から15000アメリカドルが奪取される)。東南アジア地域、特にマラッカとシンガポール海峡における、ほとんどの海賊行為は、全ての種類の商業船に対し夜間に行われる。海賊達は、船尾から小さな速い船で近づき、碇かロープを引っ掛けて船に乗り込み、ブリッジかキャビンで乗組員を脅迫する。

 

 

 

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