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国際貿易の80パーセント以上が海上輸送に依存し、フロンティアを横断する貿易の95パーセントが海上輸送で占められている。貨物航空輸送という手段がありながら、いまだ99.5パーセントの貨物輸送が海運によって行なわれているのである。

 

原油貿易に関するデータを見れば、世界が海運に依存しているという事実がいかに重要であるかがはっきりとわかる。1991年から1995年の間に、原油輸出量は8億トンから9億トンヘと増加した。2000年までに9億5千万トンをゆうに越えてしまうであろう。1995年のデータでは、3億2500万トンの原油が米国とカナダへ輸出され、2億2200万トンが日本へ、そして3億2500万トン以上がヨーロッパへ輸出された。2000年までに、米国とカナダは3億7000万トン、日本は2億4000万トンへと原油輸入を増加させるであろう。他方、ヨーロッパの原油輸入はさほどの伸びは示さないと予測されている。なお、石油製品については、1995年には2億3000万トンから2億500万トンへと一時的に減少したが、2000年までには2億6000万トンへと増加すると予測されている。その大半が北米へ、3000万トンがヨーロッパおよび日本のそれぞれへ輸入されると予測されている。

 

第二に重要な海上輸送物資は、石炭とコークスである。1991年には約2億9500万トンが、1995には3億3300万トン以上の石炭とコークスが海上輸送された。2000年には4億5000万トンが日本とヨーロッパへ輸出されると予測されている。この内、日本は1億5000万トンをオーストラリアから輸入し、ヨーロッパは残りのうち4000万トンを北米から、3000万トンをオーストラリアから輸入すると予測されている。

 

鉄鋼については、1991年の海上輸送量は3億トンであったが、1995年には2億8500万卜ンへと減少した。しかし、2000年までには3億3500万トンへと増加すると予測されている。その中で、約1億2000万トンが日本とヨーロッパへそれぞれ輸出され7000万トンが他の東アジア、東南アジアへ輸出されるであろう。オーストラリアは圧倒的に最大の鉄鋼生産国であり、2000年には約1億5000万トンが海上輸送によって輸出されると予測されている。このうち3分の2以上が東アジア、東南アジアへ輸出されるであろう。しかし、オーストラリア自身もまた鉄鋼を海上経由で輸出していることを忘れてはならない。こうした事実は、海運の自由航行が産業および民間企業にとっていかに重要かを如実に物語っている。また、北欧などの高コストのプラントが閉鎖されたことを考慮すると、鉄鋼が近代製造業の供給能力にとって死活的に重要であることが理解できる。

 

穀物の海上輸送量については、東欧の貿易量の停滞のために、1991年に1億7500万トンだった輸送量が1995年には1億5500万トンに減少してしまった。しかし、中東市場の上昇により、2000年には全体で約1億8000万トンにまで増加すると予測されている。その内、9600トンは米国から輸出されるであろう。これにより、1995年に7800万トンに留まっていた輸送量が1991年のレベルにまで回復することになる。

 

高価値貨物は、現在、最高約18.5トンの重量分を収納できるコンテナ(TEU)によって運搬されている。1990年代には貨物輸送の伸び率にはぶれがあったが、1993年の4.6パーセン卜を下回ったことは一度もなく、1995年には11パーセントを越えた。

 

 

 

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