日本財団 図書館


- (とくに海洋信頼・安全醸成措置(MCSBMs: maritime confidendce-and security-building measures)を促進する。

 

- 1982年国連海洋法条約(UNCLOS)のアジア太平洋地域での順守を促進する。

以上目的に基づき、同グループは1995年6月にクアラ・ルンプール、1996年4月に再びクアラ・ルンプール、1997年6月にバンコック、そして1997年11月に東京で会議を開催し、その都度オーストラリア国立大学SDSCよりモノグラフが出版されてきた。また、1996年12月には、ジャカルタで同グループの小委員会が開催され、地域的海洋協力のガイドラインが作成された。

 

今回紹介する抄訳の出所であるShipping and Reggional Securrityはアジア太平洋地域の海上交通に焦点を当てたものであり、所収論文はいずれも同地域における海運、海上貿易、安全保障協力と対話の可能性について、とくに経済的・地戦略的(geostrategic)な要素に重点を置いて検討している。編者によれば、高価な航空貨物輸送を除けば、地域間貿易はすべて海上輸送によって行なわれている。しかし、多くの地域諸国が、エネルギー、食糧、重要一次産品において自給力を欠いている。したがって、こうした諸国にとって、海運妨害、領海をめぐる紛争の影響、海賊の脅威、石油流出や海洋汚染などの海洋安全保障の諸問題は非常に重要な意味合いを持つことになる。同書はこうした問題の本質を、豊富なデータを用いて論じたものであり、わが国で海洋安全保障の問題を考えるうえで基礎的理解を促進してくれるものと思われる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION