クリントン政府のインドネシアに対する無関心は、中国に戦略的利点を示した。現在のワシントンにおいて、1965年に中国がインドネシアの共産主義者を手先に使ってマラッカ海峡をコントロールするために、どれほど接近したかを把握している者は、ほとんどいない。実際、中国はもはや、モスクワとワシントンの両方を目指した革命的外交政策を追求してはいない。中国は、東チモール問題がインドネシアとオーストラリアの間にくさびを打ち込んだときに、利益を得ようと考えている。
オーストラリアの海洋戦略に向けて
オーストラリアは、その必要性に関わらず、海洋戦略を発展させたことはない。前国防大臣で現在の野党指導者、キム・ビーズリー氏は、「多くの反対する理由にもかかわらず、オーストラリアは海洋国ではなく、その国民も海洋戦略にそれほどの関心を維持できない」と述べている。伝統的に、オーストラリアは、イギリス、その後はアメリカの海上防衛に依存してきた。そして、オーストラリアの軍事貢献は、主として陸上部隊の派遣であり、それは同盟国の海軍力に依存していた。ヨーロッパと中東における大規模な地上戦での戦争経験は、陸軍に大陸戦闘への選択を生み出した。
オーストラリアの「地域外」展開に対する大きな意欲にもかかわらず、その力の構造はまた、1980年代の労働党政府の政治的必須条件、すなわち巨大で強力な友好国からの「独立」を続ける必要を依然として反映している。例えば、ソマリアやカンボジアのようなADFの海外発展の多くが、政治的に主導され、それは、前労働党外務大臣のガレス・エヴァンスの国連事務総長への野心を含んでいた。
政治的立場に拘束されるより、むしろ、オーストラリアの力の構造は、同盟関係を抜きにしては、先進技術のみならず、より大きな安全保障を供給することが出来ないという認識をもって再編成されるべきである。上陸作戦の能力不足は、明らかな怠慢である。陸軍の抜本的な検討は、アメリカ海兵隊(USMC)と統一可能な海兵隊のような軍隊への再編成をもたらすかもしれない。
オーストラリアの戦略的必要性と軍事革命(RMA)は、軍隊に特別の挑戦をもたらした。それは、最近の変化の犠牲(出費)の多くを生んできた。軍の認識は、伝統的師団構成から七つの独立的共同部隊へと変わってきており、それは総計3万人たらずからなる大陸防衛に引き続き焦点を置くものである。
オーストラリアは、その大陸防衛能力と同時に、国を越えた同盟国への貢献との両方を必要とする。オーストラリアは、遠方における「良好な」同盟関係によって「防衛」されなければならない。それは、同盟によって運用されなければならず、海軍力に基礎を置くものである。オーストラリアの「境界」は、オーストラリア北海岸の先のチモールに終わるのではなく、朝鮮半島を含む東アジアの南海岸まで伸びているのである。