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●インドネシアにおける政治的不安定は、地域的安全保障に重大なインパクトを持つだろう。地域防衛に非常に関係する問題には、次のものがある。

●何百万もの人々の流失。マレーシアはもっとも直接的なターゲットである。シンガポールやフィリピンもそうである。インドネシアの政治的危機が起きる前でさえ、二、三百万のインドネシア難民が、仕事と安全を求めてマレーシアに逃げた。

●不安定なインドネシアは、アセアン安全保障のための重要な中心の損失である。

●インドネシアの中には、国を分割しようとするグループもある。もし、これが成功した場合、より大きな自治権を求めている地域におけるその他の共同体に深刻な関係をもたらすだろう。例えば、南フィリピンのイスラム教がある。ミンダナオのイスラム教自治権問題も沈静化していない。キリスト教の大多数は、強いイスラムの反政府暴動に対し怖じ気づいている。

●反中国感情は、中国人が経済的に強力な少数派を形成しているフィリピン、マレーシア、タイ、ベトナム、カンボジア、ミヤンマーにおいて、至る所で同じ怒りを生むだろう。インドネシアのバルカン化は至る所で社会的緊張に火をつけるだろう。

●アセアンは、ジャカルタが政治的混乱に陥ってから強く安定したリーダーを失った。アセアン諸国はスハルトとインドネシアにに多大な敬意を払っていた。ハビビは、アセアンから多くの支援を得られない。誰も他のアセアンリーダーを支援しない。

●インドネシアは重要な地域的力である。戦略的シーレーン・コミュニケーションのみならず、資源をもコントロールする。西欧と日本は、インドネシアが好ましくない力によってコントロールされることを承認しない。したがって、日本、アメリカ、中国、そして国際的組織が、インドネシアが速く立ち直れるように、支援の手を差し延べるのは当然である。

 

 

 

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