<イスラム>
●2億2千万のインドネシア人の90%はイスラム教徒である。インドネシア国家においてイスラム教は非常に大きな役割を果たすだろう。イスラム教はインドネシアの政治において非常に大きな力でありつづけるだろう。彼らの多くは、有名無実のイスラム教徒であるが、それでも、インドネシアにおいて強い影響力を示しつづけるだろう。
●イスラム勢力の再浮上は確実である。イスラム政党は、イスラム教を統治の脅威と見ていたスハルトによる慎重な30年の無視政策の後、再浮上するだろう。現在の政権下でイスラム政党は合法的に登録を許されるだろう。
●インドネシアの政治に精通している人々にとって、イスラム政党はイデオロギー・ラインと、地域的ラインに並べられるだろう。ACHEHACHEHの人々は、さらなる自治権の拡大を目標に、より大きな声を上げるだろう。彼らはCELEBESや、他の伝統的なイスラム拠点の人々の支持を獲得するだろう。彼らは、疎隔化と脱イスラム化に反対している。脱イスラム勢力と、伝統的なイスラム勢力の間の内紛は、彼らが承認と政治力を争そうにつれて、より、凄まじくなるだろう。実際、イスラム勢力は現在、イスラム教徒により発言力を与えてほしいと願っている伝統主義者と、世俗化を目指す熱心なリベラル派とに大別される。前者はICMIを頭文字として知られているイスラム教インテリ連合に代表される。この組織は、元々イスラム伝統主義者のグループから、より支援を得るために、スハルトによって提案されたものである。スハルトが権力を持っていたとき、ICMIは副大統領HABIBIEの保護の下に置かれた。
●まだ、結論を出すには早いが、ICMIと関係の深い人々(HABIBIE, ADI SOSONO,MC)は権力の座にあり、この国の伝統的イスラム勢力だけでなく、イスラム急進派からもかなりの支援を得ていることが明らかになるだろう。
●アフガニスタンのタリバンや、イランのイスラム過激派は、予見できる将来において、インドネシアには有り得ないだろう。インドネシアのイスラム政治イデオロギーが、脱イスラム化を続ける可能性はあるが、現在の政治的イデオロギー以上に、より多くイスラム教の価値観を取り入れるかもしれない。利益集団がイスラムグループからの過激な要求を押さえるためにスハルト政権によって巧妙に適応されたPNANCASILAイデオロギーを改変するために、政府に圧力をかけないのは驚きである。もっと基本的なイスラム生活様式に戻ろうとする声があるだろうが、インドネシアをイスラム教国に変えてしまうほどの強い圧力はないだろう。
●国粋主義勢力は政治的インパクトを生み出し、インドネシア国家に戻る機会を待って、あらゆる所に潜んでいる。しかし、イスラム教を基礎とした集団の様に、彼らは方向性において別れている。彼らは、本来競争心が強い。彼らの政治的議題は、ほぼ同じであり、政治権力を求めている。彼らは、一般的に互いに疑心安危に陥っているので、力を合わせることはないだろう。私の見解では、彼らの強い信仰に関わらず、彼らは力を生み出すことはできない。彼らは、文化と宗教の多様性から、力と統一を生み出すものとしての誇りを持った国民として正当性を求めるために、他の勢力と連立しなければならない。