公海の自由航行プロジェクト提出論文
海洋の安定の鍵を握るポスト・スハルト後のインドネシア情勢
B.A.ハムザ
(マレーシア海洋研究所所長)
潮 匡人 訳・解説
<解説>
マレーシア海事研究所(MIMA)のビー・エイ・ハムザ所長は、MIMA(Mayaysian Institute on Maritime Affairs)設立当初から国際的に活躍する論客・研究者で、東南アジアにおける海洋問題の先駆的な役割を果たし、マラッカ海峡の安全の確保などについて沿岸諸国の中でリーダーシップを発揮している人物であり、良質な出版物を多数発行している事で知られている。また、マレーシアの管理地域はアジア太平洋のチョーク・ポイントであるマラッカ海峡を抱え、インドネシアの群島水域とも隣接しており、これらが海域が軍事・非軍事両面に及ぼす影響、第二にマレーシアの海洋戦略、マレーシアの対中国観、ASEANの将来予測、マレーシアのインドネシア観、マレーシアの日本への期待などアジア情勢に関する意見を聴取したが、マレーシアがインド・中国との戦略バランスを考慮しなければならない位置に有る為、欧米諸国や韓国とは極めて対照的な見解を聴取する事が出来たが、特に注目されるのは、マレーシアが長い歴史の中で中国に冊封・朝貢を強制され来た事からか、中国に対する日本とは違う極めて深刻な脅威を感じている点であった。
<本文>
1 先週、私はインドネシアを訪れた(1998年11月末)。ジャカルタを、非常に広範囲に旅をしたところ、水曜日に宮殿の周りでデモに捕まった(11月26日)。しかし、結局、私は、通り抜けることを許された。ジャカルタでは、西側のメディアが伝えるような炎上は、見かけなかった。
たしかに、いくつかの障害があったが、これらの諸問題は、ハビビ(HABIBIE)政権が、転覆しているという印象を、私に与えなかった。私は、ハビビ政権が、1999年7月7日まで存続し続けるだろうと思う。-それは、議会選挙が行われるときである。
インドネシアの大統領選挙は、1999年7月7日以降になるだろう。ゴルカー(GOLKAR)は、ハビビを候補として指名するだろう。私の意見では、学生たちは、もし彼らがなんとしても民主主義の過程を踏み出したいのならば、少なくとも、選挙のチャンスが与えられなければならないと気づいている。
新しく引き継ぐ政府は、選挙を遅らせるかもしれない。もしくは、もし何らかの理由で軍が引き継ぐ事になったら、選挙は、全く行われないかもしれない。