もちろん、日韓防衛協力が進む上で障害がないわけではない。韓国にとって交流を進めるべき国として、中国の存在もある。防衛分野での日韓交流が進みすぎる結果、中国が警戒心を高めて、韓国の利益に反する事態が生じることを懸念する韓国の専門家も少なくない(注13)。
21世紀には日本海を中心とした関係諸国の経済活動が活発になることは間違いない(注14)。しかし、弾道ミサイルの拡散や核兵器開発の拡がりにより、この地域の不安定要素が増え、海上でのテロ活動や海難事故への共同対処、周辺事態が日本有事に波及しやすい構造にある。偶発的な問題に日韓が共同で対処すべき事態も増大してくるだろう。このような協力関係に中国の懸念が増大する問題が残っていることは事実だが、この地域の各国の国防政策、脅威認識が多様であることを考慮するとき、日韓が協力して対処する枠組みを作った上で、国際的な参加国を拡大してゆく他ないではないだろうか。(了)