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II ロランの場合

 

A. ロラン送信機

ロラン送信機はVOR/DME に比べて大きく複雑で高価である。ロラン装置は電気的なハードウェアーで構成された約30フィート × 90 フィートの建物の内に収納された装置である。局は商用電源(可能な所は) で運用されており発電機でバックアップされている。アンテナは高さが800から1300フィートまでの大きさである。信号は地表面を伝播するので比較的郊外に設置することができ、混雑した都市部から離れることができる。

新しい最新のロラン局は産業の発達した国で約 700万ドル程度である。僻地のサイトでは職員の住宅やアクセスのための滑走路等コストが更にかかる。

 

最新のロラン局は完全に半導体化されている。各構成品は予備器としての機能を持っており、もしユニットが故障したときはホットスペアー現用となり不良となったボードと切り替わる。新しい地上の送信機は信頼性が非常に高く、保守の費用も大変少ない。

ロラン信号は伝播距離が長いので必要とする局の数が少ないのが長所である。北アメリカ大陸全体と沿岸海域、アリューシャンからノバスコシヤはアメリカの24局とカナダの5局でカバーれる。これは米国単独の1075局のVOR/DME と比較される。

 

B. ロラン受信機

 

現在の航空機用ロラン受信機は殆ど古い技術であり性能に限界がある。よく知られていることは受信機用に造られているアンテナが急に発生する空電(静電気) に若干敏感過ぎることである。今日、最新のH フィールド アンテナはこの問題を解消する。

我々の背景にある問題を実証するため研究とフィールドテストはイリガン シミュレーター、ローカス社及びメガパルス社の応援を得てオハイオ大学で行われている。

進歩は航空機用受信機にも及んでいる。受信機は航行誘導を妨げる一つの局の信号の喪失、すなわちチェーンの中の3 局を関係づける必要はもはや無い。高級なチップ上のコンピューター複数の送信局からの信号を解析し受信し、一つもしくは二つの局からの信号の喪失はもはや航海の障害とはならない。最新のロラン技術の性能の恩恵を得るため、ある程度のコストを含む新しい受信機とアンテナが必要である。しかし、また高速で移動する航空機で高精度が要求される時代、 WAAS と LAAS も必要であることも事実である。

 

C. レンジ

 

長距離伝播の能力をもつロランは常にVOR/DME のような見通し線内送信機と比較される。最新受信機の開発と航空機用アンテナはロランの電波の到達距離を劇的に増加させた。CONUS では、これはより多くの送信機からの信号が受信できるのでたかがシステムのセキュリィー加えられたにすぎない。しかし、大洋では改善は劇的である。アイスランディツクとグリーンランドの改修により、全ての北大西洋航路はロラン信号を使用できる範囲となった。同様なサービスの改善は海上のユーザーも可能である。

 

 

 

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