論議した項目
VTSと航路標識
理事会は委員会に対し航路標識としてのVTSの状態に対する声明書を作成するよう要請した。VTS委員会では、ある委員は航路標識を従来の標識とみなすことに議論があった。VTSは航路標識にするべきではない。従来の標識と同じ部類に入れるべきではない。VTSは交通と活発に相互に影響し合うので従来の標識とは分離するべきだ。結論が出なかったのでこの問題は運用委員会に反映させた。しかしIMOから救いが来た。IMOでは'航海'とは船舶の移動の計画、記録、管理の過程であると定義している。船舶の移動の計画、記録及び管理の支援は明らかに従来の航路標識サービス以上のものを含んでいる。以上のように考え、IALAは航路標識に従来式の標識とVTSを含めることに定義した:航路標識とは船に対する外部の機器又はシステムで、個々の船や船舶交通の安全や効率を強化するため設計し使用する。
VTS要員の採用、資格、訓練
VTSはシステムと考えられる。システムは機器、運用手順、要員から成り立っている。IALA理事会はVTS委員会に対し、VTS要員の訓練や資格の国際的基準の前に、VTS運用手順の設定が必要であると勧告した。そこでVTSの運用手順が完成するまで、訓練と資格の事項は延期した。1996年ロッテルダムのVTSシンポジュームから情勢が変化した。シンポジュームの結論の一部に、IALAはVTS要員の訓練と資格の指針を作成せよとの要請があった。これにより臨時グループがVTS委員会と平行して作業を進めることにした。
VTSセンサーデータとVTSとの情報交換
作業グループはVTS運用を改善する為、事故に関係したどのVTSデータと、センサーデータを収集するべきか幾つか調査し、広範囲のリストを作成した。ヨーロッパ常設観測所(EPTO)の機材と方法で支援された船舶交通観測所の訓練が開始された。EPTOの機材は幾つかの基地に自主的に設置された。目的は交通と交通管理方式の評価である。
VTS画面とECDISで使用する記号
委員会はECDIS(電子海図表示情報システム)の開発を監視しVTSとECDISとで記号の互換性を検討した。IHOの代理者はECDISの性能規格の発表を行った。IALAは世界で協力しあって、適切な個所にはVTS目的のECDIS記号を入力するべきだと提案した。
AIS自動識別システム
各国におけるAISシステムの開発と試験に留意し論議した。スエーデン代表はあるVTS委員会会議で興味ある発表を行った。この発表は放送式トランスポンダーの研究につながるもので、そこでは強制で望ましい放送通信用語の表を作成している。この通信用語はユニバーサル船舶自動識別システムの性能規格に関するIMO勧告への貢献として、IALA代表者がIMOに提出した。IALA作業グループの委任事項である、ユニバーサル船舶自動識別システムは承認された。作業グループはAISの設備導入に向け作業を続ける。
VTSの運用目的
VTSに類似したサービスや通信名、頭文字が沢山ある。VTSの顕著な目的や機能は何だろうか? 基本的に質問に答えることがVTS委員会の範囲と内容である。IMOの指針では、VTSとは海上交通に作用し海上交通の安全と効率を高め環境を保全するサービスと定義している。VTS委員会は、一面では規格や手順の開発により細かい定義を必要とするが、反面他の委員会は最近採用されたIMOの指針に細かく干渉されることを好まない。 この件は前回の委員会でも論議された。4年間で結論を出せなかった。